ホンダ、半導体不足で車の機能絞る SUV納車1年→半年へ

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

ホンダは新型車の一部で死角に入った車両を検知しドライバーに警告する機能をなくして販売する。この機能に必要な専用の半導体は不足が続いている。受注から納車まで1年程度かかる状況を解消し、半年程度で納車できるように機能を絞って販売する。

SUVの新型車「ZR-V」で、走行中の死角になりやすい斜め後方の車両を検知してドアミラーに表示することでドライバーに注意を促す「ブラインドスポットインフォメーション(BSI)」をなくした仕様で販売を始めた。必要な車載半導体の調達が間に合っておらず、納車までの期間が長期化する見通しとなったため、このBSI機能を搭載せず販売することを決めた。店舗やモデルで異なるが、受注から納車まで1年程度だった期間が半年程度と半分程度に短縮できるという。

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日野自動車と三菱ふそうが経営統合へ

極東 > 日本レポート

突然の発表で、誰も予期できなかった商用車再編となった。5月30日、トヨタ自動車と独ダイムラートラックが商用車分野で提携し、トヨタ傘下の日野自動車とダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスを2024年末に経営統合することを発表した。

トヨタとダイムラーが株式公開を目指す持ち株会社を2024年末までに設立し、日野自と三菱ふそうが傘下に入ることで4社が基本合意。トヨタとダイムラーの持ち株会社への出資比率は同じ割合とし、統合後に日野自はトヨタの連結子会社から外れる。

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起亜、顧客仕様のEV100万台計画 配送車・タクシー開発

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起亜が配送車やタクシーなど特定用途向けを軸にした独自のEV戦略を進める。韓国ネット通販最大手のクーパンと配送車を共同開発するなど、2030年のEV販売目標160万台のうち顧客仕様EVが100万台を占める。ソウル市郊外に専用工場も建設する。

クーパンとは運転手1人の乗車を前提として荷物の積載量を増やし、冷蔵や冷凍の車内設備を備える車両を開発するもようだ。同社は高速配送のために物流センターや配送車を自前で抱え、ドライバーを直接雇用する。将来的に1万台規模のEV配送車を運用する方針を示しており、起亜への発注ロットが大きい。

韓国陸運最大手のCJ大韓通運とも配送トラックの共同開発契約を結んだ。飲食店チェーンなどとも連携して冷蔵配送に適したEVも開発する。まずは国内企業との協業をもとに個別開発・量産のノウハウを蓄積し、米国や欧州など海外の顧客企業からの受注も始める。

起亜はPBV拡大のためのEV専用工場をソウル首都圏の華城市に建設する。既存工場を拡張する形で、6万6千平方メートルの敷地に1兆ウォン(約1000億円)を投じて新工場棟を建てる。23年内に着工して25年下半期には年間15万台のEV生産能力を確保する計画だ。

起亜を含む現代自グループはEVプラットホーム「E-GMP」をEV全車種に適用している。電池を床下に敷き詰める構造で、車の内装の自由度が高い。

現代自グループの22年の世界販売台数は684万台で、そのうち290万台を起亜が担う。現代自の陰に隠れて目立たない起亜だが、日本のスズキと同水準の販売台数で、売上高は9兆円を誇る。韓国と米国、欧州を中心とした効率的なマーケティング戦略で22年の売上高営業利益率は8.4%と現代自(6.9%)を上回る。

参考: 日経

PSR 分析: 起亜が商用車への明確なターゲットを示したことは市場からも好感を持たれているようだ。かつての起亜は小型車が中心だったが、近年はSUVや高級セダンにも注力しており、現代自動車と競合するケースも増えていた。

筆者は商用車の方がEV普及は早く進むのではないかと見ている。コスト意識がより高いからだ。これまで商用車分野では他のメジャーな自動車OEMが力を入れてこなかったという側面もあり、起亜はそこにチャンスを見出そうとしている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

日立建機、遠隔ショベル2023年度に発売 一般土木現場向け

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Akihiro Komuro
小室 明大

日立建機は2023年度中に遠隔操作に対応する中型の油圧ショベルを発売する。宅地造成や河川の工事などで、建機に乗り込まずに作業員が操作する。工事現場で人手不足により需要が高まっているとみて、普及台数が多い中型で導入する。

主に車体重量が10〜30トンクラスの油圧ショベルを対象とする。遠隔操縦に対応できる車体を用意し、日立建機が顧客と相談しながら必要な遠隔操作用のコントローラーや映像システムなどを搭載する。

これまで、ゼネコン大手が独自に遠隔操作できるよう油圧ショベルを改造する事例はあった。日立建機は自ら遠隔対応にすることでアフターサービスなどをしやすくする。今後、遠隔操作に加えて自動化に対応する同クラスの油圧ショベルも発売する計画だ。

参考: 日経

PSR 分析: 筆者は世界最大の建機展示会CONEXPO2023を視察してきたが、Trimbleをはじめ多くの遠隔操作システムの展示があった。複数の大型モニタとコックピット、操作用のジョイスティックなどで構成されたシステムを用いて、インターネット経由で遠隔地にある建機を操作する仕組みだ。こうしたシステムは通信大手が開発を主導し、建機メーカーへの導入を狙ったものが多かった印象がある。

今回日立建機はこうしたシステムを自社のサービスとして顧客に提供する。人手不足が深刻な現場ではこうした省力化に貢献する仕組みは需要が高い。無人化は建機業界にとっては究極の目標だが、まずはこうした遠隔操作システムによって、複数の現場を1か所から運用することが第一歩になるだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

ホンダ、個人用電動二輪の発売を決定

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ホンダはモーターで動く電動二輪車の個人向け商品を2023年内にも日本で発売する。一般向けの国内発売は初めて。電動二輪全体では2025年までに世界で10車種以上を出す予定だ。中国やインドなどを中心にペダル付きや電動自転車を含めて全体で販売を増やす。販売台数は2030年に2021年比で20倍以上となる世界350万台に高める計画で二輪車でも電動シフトを急ぐ。

3月17日、電動スクーター「EM1e」を日本初公開した。航続距離は約40kmで交換式電池を採用する。排気量50㏄程度のガソリン車のスクーターより価格は割高になる見通しだ。足でこぐことができるペダルを備える「モペット」や、モーター付き自転車5車種を2024年までに中国や東南アジア、欧州、日本で売り出す。2024年から2025年にかけては電動バイクで5車種を追加する。

電動二輪は車載電池が高価で、現状では生産コストが内燃機関と比べて5割以上高い課題を抱える。ホンダは世界での販売規模をまず2026年までに100万台に引き上げる。2030年にはさらに350万台まで拡大する計画だ。ただ、新興国での内燃機関の需要は根強く、2030年までは年2千万台程度の二輪ガソリン車の生産能力を維持する構えだ。

参考: 日経

PSR 分析: ホンダも電動モデルを一般消費者市場に投入することになった。ヤマハはすでにE-Vinoを個人向けに販売している。ハーレーは電動二輪部門を分社化して投資を集めている。インドのヒーローは2022年に電動二輪VIDAをリリースし、米国企業と協業して新製品の開発を行っている。各社とも電動二輪について非常に意欲的だが、普及にはまだまだ課題が多い。先行者事例としては台湾のGogoroがバッテリー交換ステーション網を整備したことでうまくやっている。今回発表されたホンダのEM1eも交換式のバッテリーを1個搭載しており、使用後にバッテリーパックを持ち帰って自宅のコンセントで充電することで、翌日には満充電の状態で走り始めることが可能だ。持ち手が付いているので持ち運びは楽そうに見えるが10.3kgの重さは女性に受け入れられるか微妙なところだろう。台湾のようなバッテリー交換ステーション網の普及については始まったばかりであり、都市部での充電ステーションの普及はまだまだこれからだ。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

電動小型トラック5%に 経産省、荷主に2030年度目標

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Akihiro Komuro
小室 明大

経済産業省は貨物の輸送量が多い荷主に対し、電動の小型トラックの使用割合を2030年度までに5%とする目標設定を求めることを決めた。EVやFCVなどを指し、HVは含まない。目標に対する進捗の定期報告も求める。取り組みが著しく不十分な場合は荷主への勧告や社名の公表もできる。年間の輸送量の多い大手の製造業や小売業など800社のうち自ら輸送も手がける場合や特定の企業に専属で輸送を依頼している場合に対象となる。

政府は21年策定のグリーン成長戦略で、小型トラックなど商用車は2030年までに新車販売の20~30%をハイブリッド車も含む電動車にする目標を掲げていた。

参考: 日経

PSR 分析: ハイブリッドをこの目標に含めていないことは、事実上小型トラックの次世代開発がBEVかFCVに絞られたことを意味する。だがFCVはまだまだ水素スタンドが不足しており、水素スタンドの建設コストもEV充電ステーションよりも高額になることから、まずはEV化が進められていくことになる。小型トラックは台数も多く、国内物流の動脈と言える。このセグメントをEV化することで、トラック以外の国内商用車市場にも影響を与えることになるだろう。2030年まであと約7年、買い替えのタイミングでEVを選択するケースは年々増えていく。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

現代自、ソフト更新で稼ぐ 1.9兆円投じ課金モデル構築

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Akihiro Komuro
小室 明大

現代自動車が、自動運転などに必要なソフトウェア開発に本腰を入れている。2030年までに18兆ウォン(約1兆9千億円)を投じる方針を固め、開発体制の構築やM&A(合併・買収)に乗り出した。世代交代に伴う戦略転換で過去最高益を達成した現代自。顧客が車の購入後に機能を追加できるソフト分野でさらなる収益力向上を狙うが、人材獲得が当面の課題となる。

2023年以降に発売される新車種を対象に、ネット経由で最新ソフトに更新する「オーバー・ジ・エア(OTA)」機能を標準搭載する。2025年までに起亜自動車も含めた全車種にも広げ、スマホのアプリストアのような多様な機能をダウンロードできるプラットフォームを構築。機能更新に応じて課金する仕組みを確立する方針だ。まずはカーナビなどコンテンツ、オーディオや照明、遠隔操作機能などを導入し、その後は自動車保険の契約など周辺領域にも広げ、顧客の要望に応じたサービスの多様化・高度化を進めるという。

課題は、ソフト技術者の確保だ。韓国ではサムスン電子やネイバー、カカオといった大手が優秀な技術者を求め、高額報酬を提示して争奪戦を繰り広げている。労働組合の影響力が強く、報酬が均一的な現代自は十分に採用できずにいる。

出典: 日経

PSR 分析: 自動運転やCASEにとってある意味必然ともいえる自動車のスマートフォン化をさらに加速させる動きだ。ソフトウェアによるサブスクリプション型のビジネスモデルはテスラがすでに先行しているが、他の自動車メーカーもそれぞれのやり方でこのトレンドを追従している。大手の動きは以下の通り。

現代自動車2030年までにソフトに1.9兆円投資 課金ビジネスモデル構築
トヨタグループ全体のソフトウェア技術者を18,000人体制に増強
ホンダ2030年までにソフトウェアと電動化に約5兆円を投資
VW内製のソフトウェア基盤に2030年までに最大4,000万台を接続
ステランティス2025年までに60~90億ドルユーロをソフトウェアに投資
GM2030年の売上高目標2,800億ドルの約3割をソフトウェアで稼ぐ

開発の速度を速めるためには人材の確保が急務だが、そう簡単にはいかない。ソフトウェアの仕事の進め方は「アジャイル開発」と呼ばれる体制が主流であり、これは頻繁に問題を修正していくことで品質を向上させようというものだ。この手法は従来の上意下達型のピラミッド構造である自動車メーカーの仕事の進め方にはなじみにくいものだ。こうした新しい環境整備が現代自にとっては急務になる。

ソフトウェアの品質が自動車の価値を左右する時代がまもなく訪れる。これはまだ人類が経験していない領域であり、スペック、デザイン、価格とは別の新たな評価軸が登場することを意味する。

ユーザー目線で考えると、ソフトウェアに起因した事故や問題が起こった場合、その責任を誰が担保するのか、という点が気にかかる。もちろんそうしたことが起こらないことが前提だが、そうした面での法整備もこれから各国で進められていくのかもしれない。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

日野自動車エンジン不正、2003年以前から 対象56万台に

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Akihiro Komuro
小室 明大

日野自動車は、3月に公表したディーゼルエンジンの排ガス数値の改ざんについて、少なくとも2003年以前から行われていたと発表した。従来は不正開始時期について2016年秋以降と説明していたが、より長期間にわたって不正が続けられていた。対象車両も判明しただけで2009年以降で56万7千台にのぼり、これまで公表していた約12万台から大幅に拡大する。2016年、国土交通省から求められた排ガスや燃費試験を巡る実態調査に対して虚偽報告していたことも明らかにした。

出典: 日経

PSR 分析: こうしたネガティブなことをテーマにしたくはないが、この問題は看過できない。中大型トラック分野で国内トップシェアを持つ日野の不正が業界に与えるインパクトは大きい。いすゞは日野のエンジンを採用しているバス4車種の出荷を停止した。自動車の分野に限らず、タダノのクレーンや、コベルコの油圧ショベル、日立建機のホイールローダー、加藤製作所のラフテレーンクレーンなども、この問題が明るみに出たことで出荷停止を余儀なくされている。

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「電気を運ぶ船」のベンチャーが42億円を調達

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Akihiro Komuro
小室 明大

株式会社パワーエックスは2022年5月23日、41.5億円の資金調達を発表した。同社が掲げた事業は大きく2つあり、ひとつが、電気を運ぶ船「パワーアーク」の自社開発、もうひとつが、国内に大型の蓄電池工場を建設することだ。

電気を運ぶ船は、コンテナ型の蓄電池に電気を貯めて船で「送電」するという発想で、洋上風力発電所の拡大をにらんだもの。従来、洋上の風力発電所から陸までは海底ケーブルで送電されていたが、海底ケーブルを代替する電気運搬船の開発を目指す。これにより風の強い遠洋の沖合に発電所を建設することが容易になる。高圧の電気を通す海底ケーブルの建設は環境面の負荷も大きいが、電気運搬船はケーブルより送電コストも安く、早期に送電を実現することが可能だ。

初号船に予定している「パワーアーク100」は船長約100m、船舶コンテナ型の蓄電池を100個搭載し、220MWhの蓄電が可能。これはおおよそ1都市(2万2000世帯)の1日分の電気だ。災害時に大規模な停電などが発生した場合、船が有事の電源になるとのこと。より大型の船も計画しており、コンテナ3,000個を積める全長220m級の船であれば、5,660MWhの電気を運搬できる。船の航続距離はパワーアーク100で100~300kmだが、これは電気推進のみの場合で、クリーンディーゼルなどの燃料を組み合わせることで1,000kmの航行も可能になる見込みとのことだ。初号船は2025年完成予定。パワーエックスはこの電気の輸送により、自然エネルギーの爆発的普及を実現することを事業ミッションに掲げている

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現代自、インドネシア自動車展でEV800台以上成約

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ヒュンダイ・モーター・インドネシア(HMID)は、ジャカルタで開催された「インドネシア国際モーターショー(IIMS)ハイブリッド2022」で、国内で量産を開始したEV「アイオニック5」を800台以上成約したと発表した。

「アイオニック5」はすでに量産を開始し、4月からディーラーへ出荷することを明らかにしている。「アイオニック5」に次いで販売台数が多かったのは、SUV「クレタ」で約600台だった。EVとガソリン車を含めた全車種の成約台数は1,500台を超えた。

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