現代自とLGエネ、米国に電池合弁工場 6000億円投資

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国の現代自動車グループとLGエネルギーソリューションは5月26日、米国で車載電池の合弁工場を建設すると発表した。総投資額43億ドル(約6000億円)を折半で負担し、2025年末の稼働を目指す。米国のEV補助金の条件が明らかになる中で、現地での投資計画が相次いでいる。

米ジョージア州のブライアン郡に新工場を建設する。生産能力は標準的な年30ギガワット時で、EV約30万台分の電池を供給できる。現代自が建設中のジョージア州のEV専用工場のほか、起亜のジョージア工場と現代自のアラバマ工場にも供給する。重量の大きい車載電池は運送コストがかさむため、3工場に供給しやすい同地に決めた。

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EV電池確保できるか 北米で工場新設相次ぐ

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

車載リチウムイオン電池を巡り、自動車大手の投資が活発だ。日系勢では日産が先行し、ホンダやトヨタが追いかける構図だ。車載リチウムイオン電池はモーター、インバーターと並ぶEVの「三種の神器」の一つとされる。特に車載電池は動力源であり最も重要だ。多くの場合、電池大手と提携して電池の供給量を確保しなければ、EV生産がままならない。ただ、自動車大手が手を組む電池メーカーの数は限られる。2021年の世界の車載電池市場では、1位がCATLの39%だった。以下、LGエネルギーソリューション(18%)、パナソニックホールディングス(12%)などが続き、上位3社で7割を占める。

巨額投資が相次いでいるのは北米だ。欧州や中国ではすでに工場建設が着工している事例が多数ある。一方、米国ではバイデン政権が脱炭素へシフトチェンジした。その後、GMやフォード・モーターはEVへ本腰を入れ、LGエネや韓国・SKグループと組み、それぞれ約1兆円ともされる巨額投資を進める。売上高に占める北米比率が高い日系自動車大手はこぞって新たな投資戦略を発表している。

インフレ抑制法で税控除を受ける条件として北米生産が要求され、自動車メーカー各社はこれへの対応を進めており、域内完結型のサプライチェーンを再構築しようとしている。中国やロシアなどから調達した材料を使った電池を搭載したEVは補助の対象外になる可能性が高い。日産は中国資本が8割を出資するエンビジョンAESCから電池を調達しているが、これが補助にならないリスクがあり、他の調達ルートを模索している。ホンダは韓国のLGエネと44億ドル規模の合弁工場を米国に建設予定だ。トヨタはグループ会社の豊田通商と米国内に工場建設を予定している。スバル、マツダ、三菱は売上高に占める北米の割合が大きいが、自社でサプライチェーンを再構築する投資の余力がない。提携を模索しているのではないかと言われている。

参考: 日経

PSR 分析: バッテリー生産設備の増強を狙った投資と、自動車メーカーによる調達競争はすでに激化している。資本力がものをいう世界で規模が小さい自動車メーカーは他社との提携を迫られることになっていくだろう。要するに、バッテリーを確保しなければEVは生産できない。自社で調達できない場合は他社から購入するしかない。そのバッテリー購入費用は他社よりも高くなり、自動車の販売価格に反映する。その結果他社との価格競争力に影響が出て、自社の車を売りにくくなる。それを各社とも認識しているのでこうした大規模な投資を進めているわけだが、長期的視点に立つと、市場に生産設備が過剰となる可能性は否定できない。このリスクは、今はあまり語られないが、生産設備が過剰になればバッテリーの価格にも影響が出るようになるだろう。現在は調達競争が激化しているが、その状況が10年後も同じであるとは考えにくい、と私は考えている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

「電気を運ぶ船」のベンチャーが42億円を調達

極東 > 日本レポート:
Akihiro Komuro
小室 明大

株式会社パワーエックスは2022年5月23日、41.5億円の資金調達を発表した。同社が掲げた事業は大きく2つあり、ひとつが、電気を運ぶ船「パワーアーク」の自社開発、もうひとつが、国内に大型の蓄電池工場を建設することだ。

電気を運ぶ船は、コンテナ型の蓄電池に電気を貯めて船で「送電」するという発想で、洋上風力発電所の拡大をにらんだもの。従来、洋上の風力発電所から陸までは海底ケーブルで送電されていたが、海底ケーブルを代替する電気運搬船の開発を目指す。これにより風の強い遠洋の沖合に発電所を建設することが容易になる。高圧の電気を通す海底ケーブルの建設は環境面の負荷も大きいが、電気運搬船はケーブルより送電コストも安く、早期に送電を実現することが可能だ。

初号船に予定している「パワーアーク100」は船長約100m、船舶コンテナ型の蓄電池を100個搭載し、220MWhの蓄電が可能。これはおおよそ1都市(2万2000世帯)の1日分の電気だ。災害時に大規模な停電などが発生した場合、船が有事の電源になるとのこと。より大型の船も計画しており、コンテナ3,000個を積める全長220m級の船であれば、5,660MWhの電気を運搬できる。船の航続距離はパワーアーク100で100~300kmだが、これは電気推進のみの場合で、クリーンディーゼルなどの燃料を組み合わせることで1,000kmの航行も可能になる見込みとのことだ。初号船は2025年完成予定。パワーエックスはこの電気の輸送により、自然エネルギーの爆発的普及を実現することを事業ミッションに掲げている

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韓国勢、EV電池材も増産 「川上」強化で中国勢追う

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Akihiro Komuro
小室 明大

韓国素材大手がEV向け電池材料の増産を急ぐ。ロッテケミカルは1600億円規模を投じて韓国や米国で電解液などの工場建設をめざす。LG化学やポスコも増産を表明した。韓国勢はLGなど電池大手3社が活発な投資計画を持つが、川上分野の電池材料については中国勢に後れを取っている。素材各社も供給能力を高めて中国に対抗する。

石油化学が主力のロッテケミカルは、自社プラント内に電解液用の有機溶媒工場を新設する。総投資額6020億ウォンで新棟を建てて2023年中の生産を目指す。米ルイジアナ州でも電解液や正極材関連の工場建設を検討する。2025年の生産開始を見越して自治体など関係先との調整を始めた。投資金額は1000億円規模となる見通しだ。

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ヤンマー、高いバッテリー技術を持つオランダのELEOを買収

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ヤンマーホールディングス株式会社は、バッテリー技術会社であるELEO Technologies(本社:オランダ・ヘルモンド市)の株式の過半数を取得したと発表した。ヤンマーは、ELEOの先進的で拡張性のあるモジュール式電池技術を統合することで、オフロード車向けにカスタマイズしたソリューションを提供し、電動パワートレインの能力をさらに高めると述べている。

なお、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社の一員としてヤンマーグループに加わった後も、ELEOは自社ブランドのもと、現在の所在地であるオランダ・ヘルモンドで独立した事業体として事業を継続する予定とのこと。

2017年に設立されたELEO Technologiesは、独自のバッテリーマネジメントシステム(BMS)と熱管理技術によって差別化された先進的なモジュール式バッテリーパックを開発・生産している。同社は、新たな先進的な生産設備の完成を間近に控え、年間バッテリー生産能力を約 10,000 個に相当する 500 MWh に拡大する予定だ。

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現代自とLG化学、インドネシアに1200億円で電池工場

現代自動車とLG化学は7月29日、インドネシアにEV向けの電池工場を建設すると発表した。投資額11億ドル(約1200億円)を折半負担する。ニッケル埋蔵量が世界最大のインドネシアで電池を量産し、世界各地の現代自と起亜の完成車工場に供給する。ジャカルタ中心部から南東約65キロのカラワン地域の工業団地にある33万平方メートルの敷地に新工場を設立する。年内に着工して2024年には量産を始める。

年間生産能力は10ギガワット時で、EV15万台分の電池を供給できるという。現代自と起亜は今後5年間で計23車種のEV新モデルを発売する計画を持つ。セダンやSUV、高級ブランド「ジェネシス」にも広げるために基幹部品の電池の安定調達が課題だった。同社初の合弁工場とすることで長期的なEVシフトにつなげる。

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韓国SKやLG、米でEV電池工場 米中対立の間隙突き合弁

韓国の車載電池大手が米国市場を攻略している。SKイノベーションがフォードと、LG化学がGMと組み、車載電池工場の建設を推進する。米中対立を背景に世界首位メーカーのCATLが踏み込めない米国市場で、韓国勢は顧客の取り込みで先行したい考えだ。SKは同工場に約3000億円を投じ、年産ベースでEV22万台分に相当する22ギガワット時の車載電池を作る計画だ。さらにフォードとの合弁計画では、両社で6000億円を投じて60ギガの巨大工場を建設する。

SKの2019年時点の年産能力は韓国工場のわずか5ギガのみ。中国とハンガリーの工場立ち上げで2020年に30ギガに拡大し、米工場が加わり2023年に85ギガに、さらにフォードとの合弁を加えて2025年には185ギガを上回る見通しだ。

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二輪4社、電動バイクのバッテリー仕様共通化

ホンダ、ヤマハ発、スズキ、川崎重工業の国内二輪メーカー4社は3月26日、電動バイクのバッテリー仕様を共通化することに合意したと発表した。着脱式の交換バッテリーを共通化することで利便性を高める。今後整備していく充電器も標準化する。

小型スクーターでは、車体が小さいため航続距離を延ばすためのバッテリーの大型化が難しく、充電の頻度が高い。着脱式ならバッテリー交換所で充電済みのものと交換しながら走れるため、利便性も高まる。

出典: 日経

PSR 分析: 2019年4月に4社は協議体を設置してバッテリーの共通化について議論してきた、その結果共通化に合意したことはひとつの成果だ。VHSなのかベータなのか、というような仕様乱立による混乱を防ぐという意味でもこれは最低限必要な到達点だった。また、4社が合同で何かを成し遂げるというのは過去に例が無く、その意味でも有意義だったのかもしれない。

バッテリーの構造、特性、保護回路、充電に関する通信プロトコル、さらに交換インフラとなるステーションに関する規格が合意されている。ただし、大きさ、重量、容量、形状などは協調領域の範囲外となり各社ごとの対応、つまり競争領域となる。

今回の合意は、二輪のうち原付一種・二種向けの交換式バッテリー(と交換ステーション)に関する部分だ。中型・大型バイクの電動化については、4社ともにこれまでどおり技術開発・商品開発を続ける。

正直な感想を言えば、この合意形成には2年かかっており、これはあまりにも時間がかかりすぎている。台湾のGogoroやKYMCOのIonexなどはすでに多くのEVバイクをリリース、充電ステーションも都市部中心に普及し、すでに生活の足として機能している。国際的な競争が激化する中で、従来の日本式のスピード感では対応できないケースが増えていくだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

対インドネシア投資、中韓が台頭 日本の退潮鮮明

Akihiro Komuro
小室明大

中国と韓国がインドネシアへの投資を増やしている。インドネシア投資調整庁によると、2020年の海外直接投資(FDI)は中国(香港含む)が前年比で11%増の84億ドル(約8820億円)、韓国は同64%増の18億ドルだった。

Jこれまで投資をけん引してきた日本は40%減の26億ドルと退潮傾向が鮮明だ。20年のFDIはシンガポールが98億ドルで1位、中国と日本が2位、3位と続き、次いで欧州連合(EU)が4位、韓国が5位だった。

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コマツ、欧州で電動建機を販売 脱エンジンで攻勢

Akihiro Komuro
小室 明大

コマツは排ガスを出さない電池駆動の小型ショベルを2022年に欧州で発売する。静音性の高さも訴え、住宅地での利用を見込む。日立建機も電動のショベルの受注を2021年度は前年度の2倍に増やす。自動車に続いて建設機械の分野でも、開発競争が本格化してきた。

コマツが売り出す小型ショベルは、軽量で長く稼働できるリチウムイオン電池を使う。エンジンの代わりにモーターを使い、騒音が少なく排ガスも出ない。まず建機の環境規制が厳しい欧州で売り出し、日本での投入も検討する。20年4月に日本で鉛蓄電池で動く小型ショベル数台を試験的にレンタルしている。

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