無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

日本[KA1] 財団、三菱重工グループの三菱造船株式会社、新日本海フェリー株式会社は、1月に北九州市新門司から伊予灘で実施した大型カーフェリーによる世界初の完全自律型船舶航行システムの実証実験に成功した。

この実証実験は、日本財団が2020年2月に立ち上げた完全自律型船舶航行プロジェクト「MEGURI2040」の一環として行われたものだ。

日本では、少子高齢化、人口減少が進んでおり、あらゆる分野で人手不足が進んでいる。船上でのハードな仕事を要求される内航海運の船員もその例外ではない。内航海運の船員の半分以上が50歳以上であり、大きな課題となっている。

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韓国勢、EV電池材も増産 「川上」強化で中国勢追う

極東 > 韓国レポート:
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国素材大手がEV向け電池材料の増産を急ぐ。ロッテケミカルは1600億円規模を投じて韓国や米国で電解液などの工場建設をめざす。LG化学やポスコも増産を表明した。韓国勢はLGなど電池大手3社が活発な投資計画を持つが、川上分野の電池材料については中国勢に後れを取っている。素材各社も供給能力を高めて中国に対抗する。

石油化学が主力のロッテケミカルは、自社プラント内に電解液用の有機溶媒工場を新設する。総投資額6020億ウォンで新棟を建てて2023年中の生産を目指す。米ルイジアナ州でも電解液や正極材関連の工場建設を検討する。2025年の生産開始を見越して自治体など関係先との調整を始めた。投資金額は1000億円規模となる見通しだ。

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ヤンマー、高いバッテリー技術を持つオランダのELEOを買収

極東 > 日本レポート:

ヤンマーホールディングス株式会社は、バッテリー技術会社であるELEO Technologies(本社:オランダ・ヘルモンド市)の株式の過半数を取得したと発表した。ヤンマーは、ELEOの先進的で拡張性のあるモジュール式電池技術を統合することで、オフロード車向けにカスタマイズしたソリューションを提供し、電動パワートレインの能力をさらに高めると述べている。

なお、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社の一員としてヤンマーグループに加わった後も、ELEOは自社ブランドのもと、現在の所在地であるオランダ・ヘルモンドで独立した事業体として事業を継続する予定とのこと。

2017年に設立されたELEO Technologiesは、独自のバッテリーマネジメントシステム(BMS)と熱管理技術によって差別化された先進的なモジュール式バッテリーパックを開発・生産している。同社は、新たな先進的な生産設備の完成を間近に控え、年間バッテリー生産能力を約 10,000 個に相当する 500 MWh に拡大する予定だ。

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鴻海、初のEVを納入 台湾南部・高雄市の路線バス向け

台湾レポート

鴻海精密工業は3月3日、同社初のEVとなる商用バス「モデルT」を、台湾南部の高雄市を拠点する路線バスの事業者に納入した。年内に30台をメドに納入し、新規参入したEV事業の拡大を目指す。iPhoneの受託生産に依存した事業モデルから、EV事業でどこまで脱却できるかが、今後の成長のカギを握る。

「モデルT」は、バス事業者の高雄客運に納入した。車両は、台湾大手車メーカーの裕隆汽車製造(ユーロン)と共同で設立した新会社「鴻華先進科技」が開発した。モデルTは、コンセプトから設計、製造まで全て、台湾で行われた。

調達した部品の65%以上は、鴻海がEV参入時に募った千数百社以上の協力メーカーで構成される「MIH」のメンバーや、台湾メーカーからの供給によるものだという。MIHには、日本電産などが含まれる。同車は、16日から実際のバス路線で運行を開始するという。

鴻海は今後、個人向けのEVも投入する計画。個人向けで初のEVとなるSUV「モデルC」のほか、上級セダン「モデルE」の投入を予定する。両車のプラットホームをベースとした、海外メーカーからの受託生産がEV事業を拡大させる見通しで今後、世界各地で工場の設置も予定する。5年後に売上高で1兆台湾ドル(4兆円強)の規模をめざす計画を既に公表している。

出典: 日経

PSR 分析: 鴻海の動きは非常に速い。今回納入されたのは2021年10月に発表された同社初となるEV試作車3種をのうちの1タイプである。EV事業への参入を表明してから2年足らずだ。

彼らが創立したアライアンスであるMIHは2020年10月の設立から1年余りが経過し、日本をはじめとする世界各国から2,000社を超える企業が開発連合に加わった。かつてない規模のアライアンスが自動車業界に大きなイノベーションをもたらそうとしている。

MIH(Mobility in Harmony)は、モビリティ業界における新たなコラボレーションを促進するオープンEVエコシステムだ。従来の自動車とは開発・製造工程が異なるEV領域において戦略的パートナーを結集し、ハードウェア・ソフトウェアの先端技術をオープン化することで次世代EVや自動運転、モビリティサービスアプリケーションの構築を推進していく。

多くのアライアンスメンバーがリファレンスデザインの実現とEV技術の標準化を通じ、オープンなEVプラットフォームを共同で作製することで、開発サイクルの短縮や参入障壁を下げるなど業界にイノベーションを起こしていく考えだ。

MIHに参画する中国・台湾以外の海外企業も増加の一途をたどっている。自動車メーカーでは韓国の起亜やインドのマヒンドラが名を連ねているほか、ティア1の独コンチネンタルやZFも参画している。

メジャーどころでは、米マイクロソフト、英Arm、韓国LGエレクトロニクス、米オン・セミコンダクター、米Oracle、ロシアKaspersky Lab、韓国サムスン電機、独シーメンス、オランダTomTom、米Dell Technologiesなどが集っている。

MIH発足当初は台湾・中国系企業が95%以上を占めていた印象を持ったが、現在では続々と世界各国から多彩なメンバーが集結し、開発力を大幅に高めている。

前例のない規模に膨れ上がっているが、EVや自動運転といった次世代モビリティに対する世界的な関心の高さを象徴しているのだろう。

このMIHの力が今回のEVバス開発にも大きな推進力となったことは想像にたやすい。前例がない規模での巨大なアライアンスが今後どうアクションするのかが注目されている。PSR

現代自とLG化学、インドネシアに1200億円で電池工場

現代自動車とLG化学は7月29日、インドネシアにEV向けの電池工場を建設すると発表した。投資額11億ドル(約1200億円)を折半負担する。ニッケル埋蔵量が世界最大のインドネシアで電池を量産し、世界各地の現代自と起亜の完成車工場に供給する。ジャカルタ中心部から南東約65キロのカラワン地域の工業団地にある33万平方メートルの敷地に新工場を設立する。年内に着工して2024年には量産を始める。

年間生産能力は10ギガワット時で、EV15万台分の電池を供給できるという。現代自と起亜は今後5年間で計23車種のEV新モデルを発売する計画を持つ。セダンやSUV、高級ブランド「ジェネシス」にも広げるために基幹部品の電池の安定調達が課題だった。同社初の合弁工場とすることで長期的なEVシフトにつなげる。

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COVID-19デルタ型猛威で供給網寸断 日本生産に波及も

Akihiro Komuro
小室 明大

新型コロナウイルスのデルタ株が急拡大する東南アジアで、企業活動の停滞が広がっている。各国政府の規制や感染者急増を受けて、トヨタ自動車やパナソニックなど日系大手が一部工場で生産を停止した。現地での販売減少だけでなく、サプライチェーン(供給網)の寸断で日本での生産にも影響が出ている。「タイの感染拡大は予想より深刻だ。自動車産業は猛烈な影響を受けている」。

トヨタの山下典昭タイ法人社長は厳しい見方を示す。同社は7月20日以降にタイにある全3工場を順次停止した。取引先の工場で集団感染が起こり、部品を調達できなくなったためで、再開時期は未定だ。ホンダもタイの1工場を8月3~5日に停止した。

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ホンダ、早期退職2000人超 EV見据え世代交代

ホンダが55歳以上の社員を対象に募った早期退職に2000人超が応募したことが5日、分かった。

国内正社員の約5%に当たる。電気自動車EVシフトを見据え、担い手となる社員の世代交代を進める。ホンダは応募者の目標を設けなかったが、当初想定の1000人を大幅に上回った。

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中国・三一、コマツに肉薄 低価格武器にインドネシアで

Akihiro Komuro
小室 明大

インドネシアで日中の建設機械大手の争いが激しくなっている。中国市場の伸びが鈍化するなか、中国の三一重工は新たな収益源を求めて海外展開を加速する。

東南アジアを牙城とするコマツは中価格機の投入や保守拠点の拡大で対抗する。中国に続く成長市場をどこが制するかは、アジアでの建機市場の勢力図にも影響する。

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コマツのDX連合、ソニーも参画 建設現場変えられるか

7月1日、コマツは建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)のための新会社「EARTHBRAIN」を始動させた。現場のデータをデジタル化し、分析することで、大幅なコスト改善などにつながるサービスを提供する。

新会社の母体はコマツが2017年に設立したIoTのオープンプラットフォームの会社、ランドログだ。出資者を大幅に入れ替え、コマツのデジタル部隊のメンバーも一部移管する。

海外当局の認可を経てコマツが54.5%、NTTドコモが35.5%、ソニーセミコンダクタソリューションズと野村総合研究所(NRI)が5%ずつを出す予定。資本金は150億円超で、かなり本気度は高い。今回新たに加わったのが、ソニーやNRIだ。ソニーは画像センサーに強みを持つ。土量の変化などを認識する「目」の役割を果たす。NRIはデジタル化のソリューション開発などのノウハウを提供する。

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コマツ、ホンダと電動ショベルを共同開発

6月10日、コマツはホンダと共同で電動の小型ショベルを開発すると発表した。コマツのショベルで最も小型な機種に、ホンダの着脱式交換バッテリーを搭載して電動化する。2021年度中の市場投入を目指す。さらに1トン級までの電動ショベルも共同で開発するほか、建機のバッテリー交換などのサービス面でも連携を進める。

出典: 日経

PSR 分析: 4月号のPowerTALK™ Newsでも触れたが、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの二輪車メーカー4社は、電動バイクのバッテリー仕様を共通化することに合意した。今回発表された共同開発には、バッテリーの研究を重ねてきたホンダの知見が生きるだろう。交換式は充電の待ち時間を短縮できるメリットがあり、これは建設機械には優位に働く。日本の小型建機は世界的にも高評価であり、海外展開も視野に入れているはずだ。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト