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Akihiro Komuro
小室 明大

ホンダは新型車の一部で死角に入った車両を検知しドライバーに警告する機能をなくして販売する。この機能に必要な専用の半導体は不足が続いている。受注から納車まで1年程度かかる状況を解消し、半年程度で納車できるように機能を絞って販売する。

SUVの新型車「ZR-V」で、走行中の死角になりやすい斜め後方の車両を検知してドアミラーに表示することでドライバーに注意を促す「ブラインドスポットインフォメーション(BSI)」をなくした仕様で販売を始めた。必要な車載半導体の調達が間に合っておらず、納車までの期間が長期化する見通しとなったため、このBSI機能を搭載せず販売することを決めた。店舗やモデルで異なるが、受注から納車まで1年程度だった期間が半年程度と半分程度に短縮できるという。

トヨタ自動車は2022年11月の生産分から納車時に渡す遠隔操作型の鍵「スマートキー」を通常の2つから1つに減らしている。半導体不足の影響とみられ、現在も正常化のめどは立っていない。2つ目は準備が整い次第、渡している。

ホンダは一部の車種の納車が短縮されたが、全体としてはまだまだお客様を待たせている。

日産自動車は小型車「NOTE」や中型ミニバン「セレナ」などで納車期間は平均2〜3カ月、半年前と比べて半分になった。ただCOVID以前は1〜2カ月だったので、なお回復途上といえる。

参考: 日経

PSR 分析: 半導体不足は改善されつつある、と報道されることが多いが、実際にはこの状況は各OEMの購買部門が調達を必死に行っている結果であり、依然として不足している状況は継続している。せっかくの受注も納期が長期化すればキャンセルされてしまうため、OEM各社は必死になって半導体を確保しようとしている。今回のホンダはそうした工夫をすることで少しでも納車期間を縮めようとしている。この状況はいつまで続くか問われることは多いが、少なく見積もっても2024年Q2までは似たような状況が続くだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト