現代自、ソフト更新で稼ぐ 1.9兆円投じ課金モデル構築

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

現代自動車が、自動運転などに必要なソフトウェア開発に本腰を入れている。2030年までに18兆ウォン(約1兆9千億円)を投じる方針を固め、開発体制の構築やM&A(合併・買収)に乗り出した。世代交代に伴う戦略転換で過去最高益を達成した現代自。顧客が車の購入後に機能を追加できるソフト分野でさらなる収益力向上を狙うが、人材獲得が当面の課題となる。

2023年以降に発売される新車種を対象に、ネット経由で最新ソフトに更新する「オーバー・ジ・エア(OTA)」機能を標準搭載する。2025年までに起亜自動車も含めた全車種にも広げ、スマホのアプリストアのような多様な機能をダウンロードできるプラットフォームを構築。機能更新に応じて課金する仕組みを確立する方針だ。まずはカーナビなどコンテンツ、オーディオや照明、遠隔操作機能などを導入し、その後は自動車保険の契約など周辺領域にも広げ、顧客の要望に応じたサービスの多様化・高度化を進めるという。

課題は、ソフト技術者の確保だ。韓国ではサムスン電子やネイバー、カカオといった大手が優秀な技術者を求め、高額報酬を提示して争奪戦を繰り広げている。労働組合の影響力が強く、報酬が均一的な現代自は十分に採用できずにいる。

出典: 日経

PSR 分析: 自動運転やCASEにとってある意味必然ともいえる自動車のスマートフォン化をさらに加速させる動きだ。ソフトウェアによるサブスクリプション型のビジネスモデルはテスラがすでに先行しているが、他の自動車メーカーもそれぞれのやり方でこのトレンドを追従している。大手の動きは以下の通り。

現代自動車2030年までにソフトに1.9兆円投資 課金ビジネスモデル構築
トヨタグループ全体のソフトウェア技術者を18,000人体制に増強
ホンダ2030年までにソフトウェアと電動化に約5兆円を投資
VW内製のソフトウェア基盤に2030年までに最大4,000万台を接続
ステランティス2025年までに60~90億ドルユーロをソフトウェアに投資
GM2030年の売上高目標2,800億ドルの約3割をソフトウェアで稼ぐ

開発の速度を速めるためには人材の確保が急務だが、そう簡単にはいかない。ソフトウェアの仕事の進め方は「アジャイル開発」と呼ばれる体制が主流であり、これは頻繁に問題を修正していくことで品質を向上させようというものだ。この手法は従来の上意下達型のピラミッド構造である自動車メーカーの仕事の進め方にはなじみにくいものだ。こうした新しい環境整備が現代自にとっては急務になる。

ソフトウェアの品質が自動車の価値を左右する時代がまもなく訪れる。これはまだ人類が経験していない領域であり、スペック、デザイン、価格とは別の新たな評価軸が登場することを意味する。

ユーザー目線で考えると、ソフトウェアに起因した事故や問題が起こった場合、その責任を誰が担保するのか、という点が気にかかる。もちろんそうしたことが起こらないことが前提だが、そうした面での法整備もこれから各国で進められていくのかもしれない。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」

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Akihiro Komuro
小室 明大

日本[KA1] 財団、三菱重工グループの三菱造船株式会社、新日本海フェリー株式会社は、1月に北九州市新門司から伊予灘で実施した大型カーフェリーによる世界初の完全自律型船舶航行システムの実証実験に成功した。

この実証実験は、日本財団が2020年2月に立ち上げた完全自律型船舶航行プロジェクト「MEGURI2040」の一環として行われたものだ。

日本では、少子高齢化、人口減少が進んでおり、あらゆる分野で人手不足が進んでいる。船上でのハードな仕事を要求される内航海運の船員もその例外ではない。内航海運の船員の半分以上が50歳以上であり、大きな課題となっている。

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ソニーがEVのSUVを公開、ホンダとの協業も発表

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Akihiro Komuro
小室 明大

ソニーグループは3月5日、EVの試作車「VISION-S」のSUVを国内で初めて一般公開した。センサー、音響、映像技術などソニーが得意とする技術を集めた。4日にはホンダとの提携を発表しており、両社が出資する新会社でEVを共同開発し、2025年の発売をめざす。

ソニーは2020年に発表したセダン型の試作車に続き、米国で2022年1月に開かれたデジタル技術見本市「CES」でSUVを発表。

サイドミラーには鏡面がなく、車の前後も含めて40個近いセンサーから集めた映像やデータを使って安全性を高めるという。ダッシュボードはディスプレーが3枚ならび、運転情報に加えて映画などのコンテンツを映せる。車内はソニーの音響技術を駆使し、臨場感のある音楽を楽しめる。

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