現代自とLGエネ、米国に電池合弁工場 6000億円投資

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国の現代自動車グループとLGエネルギーソリューションは5月26日、米国で車載電池の合弁工場を建設すると発表した。総投資額43億ドル(約6000億円)を折半で負担し、2025年末の稼働を目指す。米国のEV補助金の条件が明らかになる中で、現地での投資計画が相次いでいる。

米ジョージア州のブライアン郡に新工場を建設する。生産能力は標準的な年30ギガワット時で、EV約30万台分の電池を供給できる。現代自が建設中のジョージア州のEV専用工場のほか、起亜のジョージア工場と現代自のアラバマ工場にも供給する。重量の大きい車載電池は運送コストがかさむため、3工場に供給しやすい同地に決めた。

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日野自動車と三菱ふそうが経営統合へ

極東 > 日本レポート

突然の発表で、誰も予期できなかった商用車再編となった。5月30日、トヨタ自動車と独ダイムラートラックが商用車分野で提携し、トヨタ傘下の日野自動車とダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスを2024年末に経営統合することを発表した。

トヨタとダイムラーが株式公開を目指す持ち株会社を2024年末までに設立し、日野自と三菱ふそうが傘下に入ることで4社が基本合意。トヨタとダイムラーの持ち株会社への出資比率は同じ割合とし、統合後に日野自はトヨタの連結子会社から外れる。

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起亜、顧客仕様のEV100万台計画 配送車・タクシー開発

極東 > 韓国レポート

起亜が配送車やタクシーなど特定用途向けを軸にした独自のEV戦略を進める。韓国ネット通販最大手のクーパンと配送車を共同開発するなど、2030年のEV販売目標160万台のうち顧客仕様EVが100万台を占める。ソウル市郊外に専用工場も建設する。

クーパンとは運転手1人の乗車を前提として荷物の積載量を増やし、冷蔵や冷凍の車内設備を備える車両を開発するもようだ。同社は高速配送のために物流センターや配送車を自前で抱え、ドライバーを直接雇用する。将来的に1万台規模のEV配送車を運用する方針を示しており、起亜への発注ロットが大きい。

韓国陸運最大手のCJ大韓通運とも配送トラックの共同開発契約を結んだ。飲食店チェーンなどとも連携して冷蔵配送に適したEVも開発する。まずは国内企業との協業をもとに個別開発・量産のノウハウを蓄積し、米国や欧州など海外の顧客企業からの受注も始める。

起亜はPBV拡大のためのEV専用工場をソウル首都圏の華城市に建設する。既存工場を拡張する形で、6万6千平方メートルの敷地に1兆ウォン(約1000億円)を投じて新工場棟を建てる。23年内に着工して25年下半期には年間15万台のEV生産能力を確保する計画だ。

起亜を含む現代自グループはEVプラットホーム「E-GMP」をEV全車種に適用している。電池を床下に敷き詰める構造で、車の内装の自由度が高い。

現代自グループの22年の世界販売台数は684万台で、そのうち290万台を起亜が担う。現代自の陰に隠れて目立たない起亜だが、日本のスズキと同水準の販売台数で、売上高は9兆円を誇る。韓国と米国、欧州を中心とした効率的なマーケティング戦略で22年の売上高営業利益率は8.4%と現代自(6.9%)を上回る。

参考: 日経

PSR 分析: 起亜が商用車への明確なターゲットを示したことは市場からも好感を持たれているようだ。かつての起亜は小型車が中心だったが、近年はSUVや高級セダンにも注力しており、現代自動車と競合するケースも増えていた。

筆者は商用車の方がEV普及は早く進むのではないかと見ている。コスト意識がより高いからだ。これまで商用車分野では他のメジャーな自動車OEMが力を入れてこなかったという側面もあり、起亜はそこにチャンスを見出そうとしている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

日立建機、遠隔ショベル2023年度に発売 一般土木現場向け

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Akihiro Komuro
小室 明大

日立建機は2023年度中に遠隔操作に対応する中型の油圧ショベルを発売する。宅地造成や河川の工事などで、建機に乗り込まずに作業員が操作する。工事現場で人手不足により需要が高まっているとみて、普及台数が多い中型で導入する。

主に車体重量が10〜30トンクラスの油圧ショベルを対象とする。遠隔操縦に対応できる車体を用意し、日立建機が顧客と相談しながら必要な遠隔操作用のコントローラーや映像システムなどを搭載する。

これまで、ゼネコン大手が独自に遠隔操作できるよう油圧ショベルを改造する事例はあった。日立建機は自ら遠隔対応にすることでアフターサービスなどをしやすくする。今後、遠隔操作に加えて自動化に対応する同クラスの油圧ショベルも発売する計画だ。

参考: 日経

PSR 分析: 筆者は世界最大の建機展示会CONEXPO2023を視察してきたが、Trimbleをはじめ多くの遠隔操作システムの展示があった。複数の大型モニタとコックピット、操作用のジョイスティックなどで構成されたシステムを用いて、インターネット経由で遠隔地にある建機を操作する仕組みだ。こうしたシステムは通信大手が開発を主導し、建機メーカーへの導入を狙ったものが多かった印象がある。

今回日立建機はこうしたシステムを自社のサービスとして顧客に提供する。人手不足が深刻な現場ではこうした省力化に貢献する仕組みは需要が高い。無人化は建機業界にとっては究極の目標だが、まずはこうした遠隔操作システムによって、複数の現場を1か所から運用することが第一歩になるだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

電動小型トラック5%に 経産省、荷主に2030年度目標

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Akihiro Komuro
小室 明大

経済産業省は貨物の輸送量が多い荷主に対し、電動の小型トラックの使用割合を2030年度までに5%とする目標設定を求めることを決めた。EVやFCVなどを指し、HVは含まない。目標に対する進捗の定期報告も求める。取り組みが著しく不十分な場合は荷主への勧告や社名の公表もできる。年間の輸送量の多い大手の製造業や小売業など800社のうち自ら輸送も手がける場合や特定の企業に専属で輸送を依頼している場合に対象となる。

政府は21年策定のグリーン成長戦略で、小型トラックなど商用車は2030年までに新車販売の20~30%をハイブリッド車も含む電動車にする目標を掲げていた。

参考: 日経

PSR 分析: ハイブリッドをこの目標に含めていないことは、事実上小型トラックの次世代開発がBEVかFCVに絞られたことを意味する。だがFCVはまだまだ水素スタンドが不足しており、水素スタンドの建設コストもEV充電ステーションよりも高額になることから、まずはEV化が進められていくことになる。小型トラックは台数も多く、国内物流の動脈と言える。このセグメントをEV化することで、トラック以外の国内商用車市場にも影響を与えることになるだろう。2030年まであと約7年、買い替えのタイミングでEVを選択するケースは年々増えていく。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

日野自動車エンジン不正、2003年以前から 対象56万台に

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Akihiro Komuro
小室 明大

日野自動車は、3月に公表したディーゼルエンジンの排ガス数値の改ざんについて、少なくとも2003年以前から行われていたと発表した。従来は不正開始時期について2016年秋以降と説明していたが、より長期間にわたって不正が続けられていた。対象車両も判明しただけで2009年以降で56万7千台にのぼり、これまで公表していた約12万台から大幅に拡大する。2016年、国土交通省から求められた排ガスや燃費試験を巡る実態調査に対して虚偽報告していたことも明らかにした。

出典: 日経

PSR 分析: こうしたネガティブなことをテーマにしたくはないが、この問題は看過できない。中大型トラック分野で国内トップシェアを持つ日野の不正が業界に与えるインパクトは大きい。いすゞは日野のエンジンを採用しているバス4車種の出荷を停止した。自動車の分野に限らず、タダノのクレーンや、コベルコの油圧ショベル、日立建機のホイールローダー、加藤製作所のラフテレーンクレーンなども、この問題が明るみに出たことで出荷停止を余儀なくされている。

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鴻海、初のEVを納入 台湾南部・高雄市の路線バス向け

台湾レポート

鴻海精密工業は3月3日、同社初のEVとなる商用バス「モデルT」を、台湾南部の高雄市を拠点する路線バスの事業者に納入した。年内に30台をメドに納入し、新規参入したEV事業の拡大を目指す。iPhoneの受託生産に依存した事業モデルから、EV事業でどこまで脱却できるかが、今後の成長のカギを握る。

「モデルT」は、バス事業者の高雄客運に納入した。車両は、台湾大手車メーカーの裕隆汽車製造(ユーロン)と共同で設立した新会社「鴻華先進科技」が開発した。モデルTは、コンセプトから設計、製造まで全て、台湾で行われた。

調達した部品の65%以上は、鴻海がEV参入時に募った千数百社以上の協力メーカーで構成される「MIH」のメンバーや、台湾メーカーからの供給によるものだという。MIHには、日本電産などが含まれる。同車は、16日から実際のバス路線で運行を開始するという。

鴻海は今後、個人向けのEVも投入する計画。個人向けで初のEVとなるSUV「モデルC」のほか、上級セダン「モデルE」の投入を予定する。両車のプラットホームをベースとした、海外メーカーからの受託生産がEV事業を拡大させる見通しで今後、世界各地で工場の設置も予定する。5年後に売上高で1兆台湾ドル(4兆円強)の規模をめざす計画を既に公表している。

出典: 日経

PSR 分析: 鴻海の動きは非常に速い。今回納入されたのは2021年10月に発表された同社初となるEV試作車3種をのうちの1タイプである。EV事業への参入を表明してから2年足らずだ。

彼らが創立したアライアンスであるMIHは2020年10月の設立から1年余りが経過し、日本をはじめとする世界各国から2,000社を超える企業が開発連合に加わった。かつてない規模のアライアンスが自動車業界に大きなイノベーションをもたらそうとしている。

MIH(Mobility in Harmony)は、モビリティ業界における新たなコラボレーションを促進するオープンEVエコシステムだ。従来の自動車とは開発・製造工程が異なるEV領域において戦略的パートナーを結集し、ハードウェア・ソフトウェアの先端技術をオープン化することで次世代EVや自動運転、モビリティサービスアプリケーションの構築を推進していく。

多くのアライアンスメンバーがリファレンスデザインの実現とEV技術の標準化を通じ、オープンなEVプラットフォームを共同で作製することで、開発サイクルの短縮や参入障壁を下げるなど業界にイノベーションを起こしていく考えだ。

MIHに参画する中国・台湾以外の海外企業も増加の一途をたどっている。自動車メーカーでは韓国の起亜やインドのマヒンドラが名を連ねているほか、ティア1の独コンチネンタルやZFも参画している。

メジャーどころでは、米マイクロソフト、英Arm、韓国LGエレクトロニクス、米オン・セミコンダクター、米Oracle、ロシアKaspersky Lab、韓国サムスン電機、独シーメンス、オランダTomTom、米Dell Technologiesなどが集っている。

MIH発足当初は台湾・中国系企業が95%以上を占めていた印象を持ったが、現在では続々と世界各国から多彩なメンバーが集結し、開発力を大幅に高めている。

前例のない規模に膨れ上がっているが、EVや自動運転といった次世代モビリティに対する世界的な関心の高さを象徴しているのだろう。

このMIHの力が今回のEVバス開発にも大きな推進力となったことは想像にたやすい。前例がない規模での巨大なアライアンスが今後どうアクションするのかが注目されている。PSR

ホンダ、ビジネス電動バイクを発売

ホンダは、交換式バッテリーを使用したビジネス用電動三輪スクーターの市販予定車として「GYRO e:」「GYRO CANOPY e:」を発表した。これにより、2020年4月より法人向けに販売しているビジネス用電動二輪車「BENLY e:」とあわせてHonda e: ビジネスバイクシリーズとして展開していく。

GYROシリーズは配達などのビジネス用途で多く活用される。安定性を高める前1輪、後2輪の3輪仕様で、少しの雨ならば平気な屋根とワイパー付き仕様「CANOPY」もある。

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水素を2030年に主要燃料に 目標1000万トン、国内電力1割分

Akihiro Komuro
小室明大

政府は国内での水素利用量を2030年時点で1000万トン規模とする目標を設ける調整に入った。1000万トンで原子力発電所30基以上を稼働できる。稼働率を考慮しない単純計算で国内全体の設備容量の1割強にあたる。水素発電の実用化を急ぎ、FCVの普及も加速させる。新設する2兆円の基金を活用したり設備投資への税優遇などで支援する。

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