中国・三一、コマツに肉薄 低価格武器にインドネシアで

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Akihiro Komuro
小室 明大

インドネシアで日中の建設機械大手の争いが激しくなっている。中国市場の伸びが鈍化するなか、中国の三一重工は新たな収益源を求めて海外展開を加速する。

東南アジアを牙城とするコマツは中価格機の投入や保守拠点の拡大で対抗する。中国に続く成長市場をどこが制するかは、アジアでの建機市場の勢力図にも影響する。

スラウェシ島にはEVの電池材料となるニッケルの製錬所が集積し、その約7割に中国資本が入るとされる。中国メディアによると、5月前半だけでスラウェシ島に600台余りの三一製の油圧ショベルが到着、製錬所などに運び込まれた。インドネシア全体で同社の油圧ショベルの稼働台数は5000台を超えたという。

武器は日本企業よりも約2割安いとされる価格競争力と、一帯一路構想と連携した販売力だ。首都ジャカルタと近隣のバンドンを結ぶ高速鉄道の建設を巡っては中国が日本に競り勝った。この高速鉄道の建設工事にも500台以上の三一の建機が使われた。

中国企業が海外の開拓を急ぐ背景には、中国市場の先行き不透明感がある。油圧ショベルの販売台数は4月に前年比マイナスに転じ、5月は2割以上減った。COVID-19収束後のインフラ開発の再開で2020年に大幅に伸びた反動が出た。

2021年通年は約1割減るとの予想もある。一方、東南アジアは堅調だ。コマツは2021年度の建機需要(台数ベース)は前年度比10~15%増えるとみる。なかでもインドネシアは東南アジアで最大の建機市場を抱える。2021年のインフラ投資はコロナ対策もあり大幅に増える見通し。道路や鉄道などの整備は建機各社の商機となる。

インドネシアでのシェアは1~3月期に三一が21%とコマツの22%に迫る。そのコマツは22年3月期に、中国を除くアジアでの売上高を前期比73%増の2404億円と見込む。地域別では北米と中南米、日本に次ぐ4番目で、全体の1割程度を占める。東南アジアではインドネシア以外でも中国の影がちらつく。タイでは中国勢がここ数年で3割程度のシェアを占めるようになったとみられ、約5割とされるコマツを追いかける。

コマツが価格競争から距離を置きながらも中価格帯の製品投入や手厚いサポート体制でシェアを守るか。それとも三一が価格と性能のバランスを前面に出して躍進できるか。インドネシアでの競争は新興国での今後の収益性を占うものとなりそうだ。

出典: 日経アジアンレビュー

PSR 分析: 6月号のPowerTALKで日系自動車メーカーと東南アジアの自動車産業の結びつきについて述べたが、建機セグメントにおいても、似たような大きな変化が始まろうとしている。近年では中国や韓国の建機メーカーも、東南アジアでの展示会で大きなブースを出展するなど、市場シェアを伸ばすために営業活動を行ってきた。中国勢のストロングポイントとしては価格だ。コマツは代理店のアフターサービスが充実しており、鉱山機械に強みがある。一方SANYは約2割安い価格と、耐久性などの品質も向上させている。

私は現地のユーザーに意見を聞いたことがあるが、5~6年前までの中国製品の評価は、耐久性とアフターサービスに問題があるとされて人気はいまいちだった。安価であることから多くの建機が購入されたが、故障時の対応が良くないため、市場は敬遠気味だった。だが今日、中国ブランドの品質は劇的に改善されてきており、これはコマツをはじめとする日系メーカーの大きな脅威になっている。

中国の一帯一路政策の多くでは中国の建機を使うことが暗黙の了解となっており、これが大きく伸びている一因だ。日本メーカーとしては価格競争に持ち込まずに、機能面などで差別化を図ろうとしているが、インドネシアをはじめとする東南アジアの各国市場が価格と機能のどちらをより高く評価するのか。市場構造が大きく変わる可能性を秘めている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト


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