ホンダは、交換式バッテリーを使用したビジネス用電動三輪スクーターの市販予定車として「GYRO e:」「GYRO CANOPY e:」を発表した。これにより、2020年4月より法人向けに販売しているビジネス用電動二輪車「BENLY e:」とあわせてHonda e: ビジネスバイクシリーズとして展開していく。

GYROシリーズは配達などのビジネス用途で多く活用される。安定性を高める前1輪、後2輪の3輪仕様で、少しの雨ならば平気な屋根とワイパー付き仕様「CANOPY」もある。

配達や営業用途に向けた商用電動バイクは日本郵政や日本マクドナルドといった大手が既に率先して導入している。コンビニなどでバッテリーを交換できるならば、あとは価格が問題だ。バッテリー切れなどの課題へ対応できるようになれば、一般ビジネス層にも、また個人用モデルにおいても電動バイクの普及が進むことに期待できる。

出典: ねとらぼ(一部筆者により元記事内容を改編しました)

PSR 分析: ホンダの電動化は、1994年の「CUV ES」から始まった。このモデルは限定リース販売だったが、このCUV ESは2011年に発売した「EV-neo」に受け継がれた。2000年代に入ると、ヤマハやスズキ、プロスタッフやテラモータースなどのベンチャー系メーカーからも一斉に電動2輪スクーターが発売された。しかし、同時期に海外ブランドの低品質なモデルが出回って、電動2輪のイメージは悪化し、国内市場はほぼ消滅し、2015年にヤマハから登場した「E-Vino」だけが孤軍奮闘している状況だった。今回のホンダの業務用EVスクーターのリリースが、こうした状況を打破するきっかけになるかどうかが問われる。

現在、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社は、2019年4月に電動二輪車用交換式バッテリーのコンソーシアムを設立し、メーカーを跨いで交換式バッテリーを利用できるように仕様や標準化を検討するとしている。

電動化の波はとても早く、二輪もその例に漏れない。台湾ではKYMCOやGOGOROがすでに交換式バッテリーモデルを多数リリースしてユーザーを増やしている。中国では都市部でのエンジンモデル禁止に伴ってEVスクーターが爆増している。海外のこうした潮流を見る限り、現時点での日本の二輪メーカーの電動化は相当遅れていると言わざるを得ない。現在、日本の4社で、世界全体の半分以上の二輪車を製造しているとよく言われるが、そうした状況は向こう3年程度で激変する可能性がある。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト