Power Systems Research (略称: PSR) は、エンジン、エンジン搭載機器、電動パワー製品、およびコンポーネント産業に関する世界的な生産データと将来予測のリーディングサプライヤーです。1976年に米国ミネソタ州に創立しました。現在はヨーロッパ、南アメリカ、インド、中国、中東、日本でも事業を展開しています。建機、農機、発電機、自動車など、各分野の世界的なメーカー・部品サプライヤーと提携しています。PSRの日本での事業は、1982年に拠点を設けて以来、今日に至るまで継続的に行われています。

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日野自動車と三菱ふそうが経営統合へ

極東 > 日本レポート

突然の発表で、誰も予期できなかった商用車再編となった。5月30日、トヨタ自動車と独ダイムラートラックが商用車分野で提携し、トヨタ傘下の日野自動車とダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスを2024年末に経営統合することを発表した。

トヨタとダイムラーが株式公開を目指す持ち株会社を2024年末までに設立し、日野自と三菱ふそうが傘下に入ることで4社が基本合意。トヨタとダイムラーの持ち株会社への出資比率は同じ割合とし、統合後に日野自はトヨタの連結子会社から外れる。

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中国・長安汽車、タイにEV新工場 380億円投資

東南アジア > タイレポート

タイ投資委員会(BOI)は20日、中国自動車大手の長安汽車集団がEVなど電動車の新工場をタイに設けると発表した。投資額は98億バーツ(約380億円)で、数年内に竣工するもようだ。当初の生産能力は年10万台で、車載電池なども製造する。タイ政府はEVの現地生産を促す奨励策を設けており、中国EV大手の投資が活発化している。

新工場ではEVのほか、HV、PHVなど電動車を中心に生産する。タイ国内向けに加え、東南アジア諸国やオーストラリア、南アフリカなどにも供給する方針だ。

長安汽車は中国の車大手で4番目の規模を持ち、2022年は200万台以上の新車を販売した。マツダとも合弁企業を設けており、中国で電動車投入を強化している。今後は中国以外でも電動車投入を進める予定で、今回の投資はその一環となる。

タイでは中国EV大手のBYDも東部ラヨーン県に完成車工場を設ける。24年に完成し、乗用車で年15万台の生産を見込む。長城汽車も同年から現地生産を予定する。タイ政府は22年、EV生産を促す奨励制度を導入し、多くの中国の車大手が活用を進める。

出典: 日経

PSR 分析: 中国自動車メーカーの「BIG 5」の1社である」Changan Automobileは複数の海外自動車メーカーと合弁事業を展開している。彼らのタイ進出は、現地における中国勢の存在感をさらに高めることになるだろう。SAIC、BYD、GWMなども進出し、これまで日本勢の牙城であったタイに切り込もうとしている。同スペックでの日本車と中国勢の比較をすればコスト勝負では中国勢が優勢になるだろう。これまでサービス網を広く展開し、アフターサポートを含めた日本ブランドの信頼性が中国勢の攻勢に対してどう立ち回るか、が焦点になる。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

起亜、顧客仕様のEV100万台計画 配送車・タクシー開発

極東 > 韓国レポート

起亜が配送車やタクシーなど特定用途向けを軸にした独自のEV戦略を進める。韓国ネット通販最大手のクーパンと配送車を共同開発するなど、2030年のEV販売目標160万台のうち顧客仕様EVが100万台を占める。ソウル市郊外に専用工場も建設する。

クーパンとは運転手1人の乗車を前提として荷物の積載量を増やし、冷蔵や冷凍の車内設備を備える車両を開発するもようだ。同社は高速配送のために物流センターや配送車を自前で抱え、ドライバーを直接雇用する。将来的に1万台規模のEV配送車を運用する方針を示しており、起亜への発注ロットが大きい。

韓国陸運最大手のCJ大韓通運とも配送トラックの共同開発契約を結んだ。飲食店チェーンなどとも連携して冷蔵配送に適したEVも開発する。まずは国内企業との協業をもとに個別開発・量産のノウハウを蓄積し、米国や欧州など海外の顧客企業からの受注も始める。

起亜はPBV拡大のためのEV専用工場をソウル首都圏の華城市に建設する。既存工場を拡張する形で、6万6千平方メートルの敷地に1兆ウォン(約1000億円)を投じて新工場棟を建てる。23年内に着工して25年下半期には年間15万台のEV生産能力を確保する計画だ。

起亜を含む現代自グループはEVプラットホーム「E-GMP」をEV全車種に適用している。電池を床下に敷き詰める構造で、車の内装の自由度が高い。

現代自グループの22年の世界販売台数は684万台で、そのうち290万台を起亜が担う。現代自の陰に隠れて目立たない起亜だが、日本のスズキと同水準の販売台数で、売上高は9兆円を誇る。韓国と米国、欧州を中心とした効率的なマーケティング戦略で22年の売上高営業利益率は8.4%と現代自(6.9%)を上回る。

参考: 日経

PSR 分析: 起亜が商用車への明確なターゲットを示したことは市場からも好感を持たれているようだ。かつての起亜は小型車が中心だったが、近年はSUVや高級セダンにも注力しており、現代自動車と競合するケースも増えていた。

筆者は商用車の方がEV普及は早く進むのではないかと見ている。コスト意識がより高いからだ。これまで商用車分野では他のメジャーな自動車OEMが力を入れてこなかったという側面もあり、起亜はそこにチャンスを見出そうとしている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

日立建機、遠隔ショベル2023年度に発売 一般土木現場向け

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

日立建機は2023年度中に遠隔操作に対応する中型の油圧ショベルを発売する。宅地造成や河川の工事などで、建機に乗り込まずに作業員が操作する。工事現場で人手不足により需要が高まっているとみて、普及台数が多い中型で導入する。

主に車体重量が10〜30トンクラスの油圧ショベルを対象とする。遠隔操縦に対応できる車体を用意し、日立建機が顧客と相談しながら必要な遠隔操作用のコントローラーや映像システムなどを搭載する。

これまで、ゼネコン大手が独自に遠隔操作できるよう油圧ショベルを改造する事例はあった。日立建機は自ら遠隔対応にすることでアフターサービスなどをしやすくする。今後、遠隔操作に加えて自動化に対応する同クラスの油圧ショベルも発売する計画だ。

参考: 日経

PSR 分析: 筆者は世界最大の建機展示会CONEXPO2023を視察してきたが、Trimbleをはじめ多くの遠隔操作システムの展示があった。複数の大型モニタとコックピット、操作用のジョイスティックなどで構成されたシステムを用いて、インターネット経由で遠隔地にある建機を操作する仕組みだ。こうしたシステムは通信大手が開発を主導し、建機メーカーへの導入を狙ったものが多かった印象がある。

今回日立建機はこうしたシステムを自社のサービスとして顧客に提供する。人手不足が深刻な現場ではこうした省力化に貢献する仕組みは需要が高い。無人化は建機業界にとっては究極の目標だが、まずはこうした遠隔操作システムによって、複数の現場を1か所から運用することが第一歩になるだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

ホンダ、個人用電動二輪の発売を決定

極東 > 日本レポート

ホンダはモーターで動く電動二輪車の個人向け商品を2023年内にも日本で発売する。一般向けの国内発売は初めて。電動二輪全体では2025年までに世界で10車種以上を出す予定だ。中国やインドなどを中心にペダル付きや電動自転車を含めて全体で販売を増やす。販売台数は2030年に2021年比で20倍以上となる世界350万台に高める計画で二輪車でも電動シフトを急ぐ。

3月17日、電動スクーター「EM1e」を日本初公開した。航続距離は約40kmで交換式電池を採用する。排気量50㏄程度のガソリン車のスクーターより価格は割高になる見通しだ。足でこぐことができるペダルを備える「モペット」や、モーター付き自転車5車種を2024年までに中国や東南アジア、欧州、日本で売り出す。2024年から2025年にかけては電動バイクで5車種を追加する。

電動二輪は車載電池が高価で、現状では生産コストが内燃機関と比べて5割以上高い課題を抱える。ホンダは世界での販売規模をまず2026年までに100万台に引き上げる。2030年にはさらに350万台まで拡大する計画だ。ただ、新興国での内燃機関の需要は根強く、2030年までは年2千万台程度の二輪ガソリン車の生産能力を維持する構えだ。

参考: 日経

PSR 分析: ホンダも電動モデルを一般消費者市場に投入することになった。ヤマハはすでにE-Vinoを個人向けに販売している。ハーレーは電動二輪部門を分社化して投資を集めている。インドのヒーローは2022年に電動二輪VIDAをリリースし、米国企業と協業して新製品の開発を行っている。各社とも電動二輪について非常に意欲的だが、普及にはまだまだ課題が多い。先行者事例としては台湾のGogoroがバッテリー交換ステーション網を整備したことでうまくやっている。今回発表されたホンダのEM1eも交換式のバッテリーを1個搭載しており、使用後にバッテリーパックを持ち帰って自宅のコンセントで充電することで、翌日には満充電の状態で走り始めることが可能だ。持ち手が付いているので持ち運びは楽そうに見えるが10.3kgの重さは女性に受け入れられるか微妙なところだろう。台湾のようなバッテリー交換ステーション網の普及については始まったばかりであり、都市部での充電ステーションの普及はまだまだこれからだ。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

ビングループ、4月にEVタクシー参入へ新会社設立

東南アジア > ベトナムレポート
Akihiro Komuro
小室 明大

ビングループは4月に同国でEVを使ったタクシー事業に乗り出す。創業者会長が95%を出資し、新会社を設立した。まずは首都のハノイでサービスを始め年内に全国に広げる計画。自社製品の認知度向上にもつなげる。新会社GSMグリーン・アンド・スマートモビリティーの資本金は3兆ドン(約170億円)。EVを使ったタクシーのほか、EVや電動バイクを他のタクシー会社などに貸し出す事業を展開する。GSMではEV1万台と電動バイク10万台を使用する予定だ。

出典: 日経

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EV電池確保できるか 北米で工場新設相次ぐ

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

車載リチウムイオン電池を巡り、自動車大手の投資が活発だ。日系勢では日産が先行し、ホンダやトヨタが追いかける構図だ。車載リチウムイオン電池はモーター、インバーターと並ぶEVの「三種の神器」の一つとされる。特に車載電池は動力源であり最も重要だ。多くの場合、電池大手と提携して電池の供給量を確保しなければ、EV生産がままならない。ただ、自動車大手が手を組む電池メーカーの数は限られる。2021年の世界の車載電池市場では、1位がCATLの39%だった。以下、LGエネルギーソリューション(18%)、パナソニックホールディングス(12%)などが続き、上位3社で7割を占める。

巨額投資が相次いでいるのは北米だ。欧州や中国ではすでに工場建設が着工している事例が多数ある。一方、米国ではバイデン政権が脱炭素へシフトチェンジした。その後、GMやフォード・モーターはEVへ本腰を入れ、LGエネや韓国・SKグループと組み、それぞれ約1兆円ともされる巨額投資を進める。売上高に占める北米比率が高い日系自動車大手はこぞって新たな投資戦略を発表している。

インフレ抑制法で税控除を受ける条件として北米生産が要求され、自動車メーカー各社はこれへの対応を進めており、域内完結型のサプライチェーンを再構築しようとしている。中国やロシアなどから調達した材料を使った電池を搭載したEVは補助の対象外になる可能性が高い。日産は中国資本が8割を出資するエンビジョンAESCから電池を調達しているが、これが補助にならないリスクがあり、他の調達ルートを模索している。ホンダは韓国のLGエネと44億ドル規模の合弁工場を米国に建設予定だ。トヨタはグループ会社の豊田通商と米国内に工場建設を予定している。スバル、マツダ、三菱は売上高に占める北米の割合が大きいが、自社でサプライチェーンを再構築する投資の余力がない。提携を模索しているのではないかと言われている。

参考: 日経

PSR 分析: バッテリー生産設備の増強を狙った投資と、自動車メーカーによる調達競争はすでに激化している。資本力がものをいう世界で規模が小さい自動車メーカーは他社との提携を迫られることになっていくだろう。要するに、バッテリーを確保しなければEVは生産できない。自社で調達できない場合は他社から購入するしかない。そのバッテリー購入費用は他社よりも高くなり、自動車の販売価格に反映する。その結果他社との価格競争力に影響が出て、自社の車を売りにくくなる。それを各社とも認識しているのでこうした大規模な投資を進めているわけだが、長期的視点に立つと、市場に生産設備が過剰となる可能性は否定できない。このリスクは、今はあまり語られないが、生産設備が過剰になればバッテリーの価格にも影響が出るようになるだろう。現在は調達競争が激化しているが、その状況が10年後も同じであるとは考えにくい、と私は考えている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

現代自がベトナムで新工場稼働 2025年に年18万台

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国の現代自動車とベトナムの複合企業タインコン・グループの合弁企業はベトナム北部のニンビン省で自動車工場を稼働した。年産能力は10万台で、既存工場と合わせた年産能力は2025年までに18万台になる。国内だけでなく近隣国にも輸出する。合弁会社、現代タインコンが運営する新工場の投資額は3兆2000億ドン(約180億円)。工場の敷地面積は約50ヘクタールで走行試験用のテストコースも併設した。

現代自動車は2009年にベトナム市場に進出した。2021年の現代自動車のベトナム国内での新車販売台数は約7万台でトヨタ自動車を上回り、ブランド別で国内最大になったとみられている。

出典: 日経

PSR 分析: ベトナムでの韓国製品の存在感は高い。自動車はもちろん、家電製品などでも韓国ブランドを容易に目にすることができる。このニュースは現地での韓国製自動車の浸透を顕著に示している。韓国メーカーがベトナムでシェアを伸ばしている背景には、日本車に比べて価格が安い点があるが、現地のニーズにあわせたカスタマイズ戦略が奏功していることもある。現代や起亜の現地モデルについて、市場関係者は「同等クラスで比較した場合、各種オプションを備えたカスタマイズ車種を安く販売している点で日本車よりも優位」と分析した。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

タイ・クボタの危機感、人手確保へ施策

東南アジア > タイレポート
Akihiro Komuro
小室 明大

東南アジア屈指の工業国タイでは労働人口の先細りで、製造業で自動化が加速している。働き手の意識も変わり、東南アジアから日本への出稼ぎも減る。安価な労働力を前提にした事業モデルはアジアで通用しなくなりつつある。

農業機械大手クボタの現地法人サイアムクボタのアマタシティ工場を訪れると、数え切れないほどの自動搬送車(AGV)が縦横無尽に走り回っていた。COVID-19禍で職を失い、故郷に帰って就農する人々への支援策として、政府が農機導入への補助政策を打ち出したことによる特需もあって、トラクターやコンバインの販売は好調。その果実を年末の賞与という形で還元できていることから、サイアムクボタは現時点で人手不足には見舞われていないという。それでも、5年後、10年後には製造業の現場で人手を確保するのは相当厳しくなるだろうという危機感は強い。工場勤務につきまとう「きつい、汚い、危険」のイメージを払拭しようと、将来を見据えた手を着々と打ち始めている。大量のAGVはその表れだ。

タイでは少子高齢化が進行しており、同国政府が2022年5月に示した見通しによれば、総人口は28年の6719万人をピークに減少に転じる見通しだ。製造業の現場では将来の人手不足への備えが始まっている。

出典: 日経

PSR 分析: 現地の製造業の現場では、福利厚生の充実を図り、自動化への設備投資がすすめられている。給与水準があがり、より良い収入を求めて海外に労働力が流出することを抑止しようとしているようだ。今後さらに現地の製造業が発展するためには労働力の確保は極めて重要であり、その意味でこの方向性は正しい。製造現場での自動化はタイをはじめインドネシアなどの東南アジアでも高い需要がある。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

電動小型トラック5%に 経産省、荷主に2030年度目標

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

経済産業省は貨物の輸送量が多い荷主に対し、電動の小型トラックの使用割合を2030年度までに5%とする目標設定を求めることを決めた。EVやFCVなどを指し、HVは含まない。目標に対する進捗の定期報告も求める。取り組みが著しく不十分な場合は荷主への勧告や社名の公表もできる。年間の輸送量の多い大手の製造業や小売業など800社のうち自ら輸送も手がける場合や特定の企業に専属で輸送を依頼している場合に対象となる。

政府は21年策定のグリーン成長戦略で、小型トラックなど商用車は2030年までに新車販売の20~30%をハイブリッド車も含む電動車にする目標を掲げていた。

参考: 日経

PSR 分析: ハイブリッドをこの目標に含めていないことは、事実上小型トラックの次世代開発がBEVかFCVに絞られたことを意味する。だがFCVはまだまだ水素スタンドが不足しており、水素スタンドの建設コストもEV充電ステーションよりも高額になることから、まずはEV化が進められていくことになる。小型トラックは台数も多く、国内物流の動脈と言える。このセグメントをEV化することで、トラック以外の国内商用車市場にも影響を与えることになるだろう。2030年まであと約7年、買い替えのタイミングでEVを選択するケースは年々増えていく。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト