Power Systems Research (略称: PSR) は、エンジン、エンジン搭載機器、電動パワー製品、およびコンポーネント産業に関する世界的な生産データと将来予測のリーディングサプライヤーです。1976年に米国ミネソタ州に創立しました。現在はヨーロッパ、南アメリカ、インド、中国、中東、日本でも事業を展開しています。建機、農機、発電機、自動車など、各分野の世界的なメーカー・部品サプライヤーと提携しています。PSRの日本での事業は、1982年に拠点を設けて以来、今日に至るまで継続的に行われています。

日本でのデータ販売とサービスは、総代理店である株式会社東販リサーチを通じて提供されています。日本でのデータ購入に関するお問い合わせ等はこちらからご連絡ください。

コマツ、Hondaと共同開発した電動マイクロショベル「PC05E-1」を10月より国内で発売

日本レポート

コマツはHondaと共同開発した電動マイクロショベル「PC05E-1」を10月より国内市場で発売すると発表した。電動化市場がまだ形成されていない国内の建設機械市場において、多様な機種を導入し顧客のニーズに応えることで2050年のカーボンニュートラル実現へ向けた早期の市場形成を目指す。当該機は、2022年3月より国内市場に導入している電動マイクロショベル「PC01E-1」の系列拡大機種だ。小規模な土木・建築工事やガス・電気・配管工事などの現場で利用されることの多い現行のマイクロショベル「PC05-1」に、「PC01E-1」と同様に動力源としてHonda Mobile Power Pack e:や電動パワーユニット(eGX)を搭載することで電動化を実現している。

コマツは2023年度を電動化建機の市場導入元年と位置付けており、今回の電動マイクロショベル「PC05E-1」の発売はその第三弾となる。

参考: コマツニュースリリース

PSR 分析: 建機の電動化については、コマツが公式のニュースリリースでも触れている通り、国内にはまだ市場は形成されていない。だがこうしたモデルを他メーカーに先行して市場に投入することで先行者として市場を開拓しようという意図は明らかだ。販売目標は国内50台/年ということで、おそらく多くがレンタル会社に向けた販売になると思うが、現実的な目標値だと評価できる。特徴としてはやはりホンダの交換式バッテリーパックを採用している点だ。これはすでにHondaが電動二輪向けに開発したものであり、容量こそ小さいが、可搬性に優れており、これを採用することで開発コストを抑えられるというメリットもあったはずだ。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

ライドシェア大手のゴジェックが全ての二輪のEV化を発表

インドネシアレポート

インドネシア配車大手のゴジェックは2030年までに全ての二輪車をEVに切り替える。年間販売が500万台を超え、東南アジア最大の二輪車市場であるインドネシアでは今、EVバイクの普及が本格化しつつある。

同国の配車大手、ゴジェックは30年までに全ての二輪車をEVバイクとする計画を掲げる。ゴジェックはバイクや自動車を含めて200万人を超える運転手が登録しているとされ、EVバイクの全量切り替えはインドネシア政府が30年までに900万台のEVバイクを普及させる目標に大きく貢献する見込みだ。

ゴジェックはEVバイクの調達を広げている。「バイクのテスラ」とされるゴゴロと戦略提携を結んだほか、自ら出資してEVバイクメーカーのエレクトラムを立ち上げた。6月下旬、西ジャワ州で新工場の建設を始め、まずは年産25万台とする見込みだ。

出典: 日経

PSR 分析: インドネシアをはじめ、タイやインドネシアにおける二輪市場は非常に大きい。ライドシェアにおいては北米などではUberなどの四輪が主流だが、こと東南アジアにおいては圧倒的に二輪が主流である。圧倒的ともいえる膨大な数の二輪が市中をくまなく走っている。アプリで配車をリクエストしてから実際に到着するまでは3分もかからない。

すでに何度もここで指摘している通り、東南アジアの二輪市場では日系メーカーが優位である。だがこうした電動化の波に対してホンダやヤマハは廉価で現地で支持される価格帯のEVバイクを未だにリリースしていない。電動モデルはすでに発売しているが、高額であったり、リース契約が前提であったり、社会実験を繰り返したりしている。だが市場がこうした大きな変革期にあって従来の日本式の取り組み方では、適切なタイミングを逃すのではないかと筆者は考えている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

韓国電池3社、大幅増収続く LGエネは営業益2.4倍

韓国レポート

韓国電池大手3社の2023年4〜6月期の連結決算が出そろった。LGエネルギーソリューションの売上高は前年同期比73%増、営業利益は2.4倍だった。EV生産が拡大し、SKオンの売上高は同2.9倍に拡大。サムスンSDIは23%増収だった。

車載電池で世界2位のLGエネの売上高は前年同期比73%増の8兆7740億ウォン(約66億ドル)、営業利益は2.4倍の4610億ウォン(約3.4億ドル)だった。2022年稼働の米GMとの合弁生産も寄与し増収増益を続けた。

LGエネは6月末時点の受注残額が440兆ウォン(約3320億ドル)と、1年間で130兆ウォン(980億ドル)増えたと明かした。ホンダや韓国・現代自動車との合弁契約などで受注を積み上げており、北米中心に新工場を次々と建設して需要増に対応する。

SKオンは売上高が同2.9倍の3兆6961億ウォン(2.7億ドル)と大きく伸びた。後発のSKは活発な先行投資を続けており、当面は赤字基調が続く。

車載電池とスマートフォン向け電池が主力のサムスンSDIの売上高は23%増の5兆8406億ウォン(4.4億ドル)だった。欧州中心に自動車販売が好調で、安定的に販売を伸ばしている。

参考: 日経

PSR 分析: 現在の韓国の製造業は半導体とバッテリーが支えていると言って良い。半導体は減産が続き稼ぐ力の鈍化がみられるが、バッテリーは好調の様子だ。韓国メーカーは北米にも生産拠点を設けるための投資を続けている。北米や欧州の自動車メーカーでの採用が増えており、少なく見積もっても向こう5年以上は韓国バッテリーメーカーの躍進は続くだろう。懸念点としては度々ここで指摘しているが、他のバッテリーメーカーも積極的に生産力向上の投資を続けているため、需要が飽和した場合に価格競争が発生し、過剰な供給能力が足かせになり得る、という点だ。レアメタルを筆頭に原材料の調達も国際間競争の様相を呈していることから将来的に調達が今よりも難しくなる可能性もある。こうした課題を韓国勢がどのように乗り切るか、がキーになる。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

EV充電器、2030年に30万口へ 経産省が目標引き上げ発表

日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

経済産業省はEVの充電器の設置目標を2030年までに30万口とする整備指針案を公表した。従来目標の15万口の2倍に引き上げた。足元の設置数と比べると新目標は10倍となる。商業施設などへの設置を呼びかける。

指針案は事業者に充電速度や機器操作の利便性の向上も要請している。脱炭素の実現に向け、2023年3月時点で3万基程度にとどまる充電器の導入拡大を急ぐ。設置目標の内訳として、商業施設などの普通充電器が27万、高速道路などの急速充電器が3万と示した。「プラグ・アンド・チャージ」と呼ぶ新しい充電方式の導入も促す。自動車を充電器とつなぐだけで認証や課金ができる仕組みで、米テスラが採用している。充電器に会員カードをかざしたり、スマホアプリで個人情報を認証したりする動作が不要になる。

Read More»

フォックスコン、ベトナムEV部品生産に2.46億ドル投資へ

ベトナムレポート

台湾の電子製品受託生産大手フォックスコンはベトナム北部クアンニン省の2つの新規プロジェクトに2億4600万ドルを投資する計画について、当局から承認を得た。プロジェクトは子会社のフォックスコン・シンガポールによるもので、通信機器とEV部品の製造・組み立てが中心となる。フォックスコンによるベトナムへの総投資額は約30億ドルに拡大する。新規投資額のうち、EV充電器と部品を生産する工場に2億ドルを投じる。2025年1月から生産開始予定で、従業員は1200人の見込み。

Read More»

コマツ、日立、デンヨーが共同で水素混焼発電機を製品化

日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

コマツと日立製作所、デンヨーは8月8日、水素と軽油を混ぜて燃料に使う発電機を製品化したと発表した。燃焼時にCO2を出さない水素を最大50%混ぜることが可能で、CO2排出量も50%削減できる。コマツの小山工場に初号機を導入し、9月中の本格稼働を目指す。今後は日立を窓口に、広く外販する。

軽油を使うディーゼルエンジンに水素を最大50%まで混ぜられる。出力は250キロワット。コマツが燃料噴射の制御技術、日立が異常燃焼時に安全に停止する機能などをそれぞれ提供し、デンヨーが発電機に組み上げた。日立とデンヨーは2018年から、コマツを加えた3社では2021年から開発を進めてきた。

参考: 日経

PSR 分析: 水素は燃焼速度が非常に速い。高温の特性もあり、温度も高い。NOxがディーゼルと比較してより多く出るという課題もあって、軽油との混焼が難しかった。この発電機は6月に大阪で開催された建機展で展示されていたが、その時はまだ公表前と言うこともあって撮影や記事での紹介が禁じられていた。

発電機の分野でもCO2削減や耐環境性能の向上は要求されているが、最大の課題はコストだ。現時点ではイニシャルコストもランニングコストも既存のディーゼル発電機と比較すると大きく見劣りする。水素の場合は充填する環境の整備もまだまだ不足しており、トライアルでの運用が当面は続くだろう。だが売れないからといって開発を全てストップするわけにはいかない。この分野の推進は、大規模な投資と、数十年に及ぶだろう投資を回収するまでの期間に耐えうるだけの資本力を持つ企業に限られる。そうした意味でこの発電機の開発に参画した3社にかかる期待は大きい。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

現代自動車、中国2工場を売却へ 販売台数は6年で77%減

極東 > 韓国レポート

韓国の現代自動車は6月20日、中国の2工場を売却すると発表した。中国国有自動車大手、北京汽車集団との合弁会社「北京現代」の稼働工場を2カ所に縮小する。中国市場の販売不振で構造改革を求められていた。

現代自の中国販売は2022年に26万台だった。2016年は113万台を販売しており、6年間で77%減少した。CEOは「ここ数年間、中国事業は内外の様々な否定的な要因によって厳しくなった。低下したブランドイメージ向上のために、高性能モデルに注力する」と話した。現代自は残る2工場の生産効率を高め、新興市場への輸出拠点としても活用する。中国市場では販売車種を現在の13種から8種に絞り込み、高級車モデル「ジェネシス」やSUVなど高価格帯の車種を上海市中心に販売していく方針も示した。

参考: 日経

PSR 分析: この状況には多くの背景が絡んでいるが、中国の国内ブランドの品質が年々向上していることはその一因に挙げられるだろう。韓国製や日本製と比べ、同クラスのモデルの中国製は2割程度安く、こうした価格戦略が自国ブランドの躍進と国外ブランドの販売低迷という流れを生んでいる。今後中国市場では更なるコスト競争の激化が予想され、その結果として国外ブランドは今回の現代自のように高級車で中国市場に挑む構図が増えていくと筆者は見ている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

ホンダ、半導体不足で車の機能絞る SUV納車1年→半年へ

極東 > 日本レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

ホンダは新型車の一部で死角に入った車両を検知しドライバーに警告する機能をなくして販売する。この機能に必要な専用の半導体は不足が続いている。受注から納車まで1年程度かかる状況を解消し、半年程度で納車できるように機能を絞って販売する。

SUVの新型車「ZR-V」で、走行中の死角になりやすい斜め後方の車両を検知してドアミラーに表示することでドライバーに注意を促す「ブラインドスポットインフォメーション(BSI)」をなくした仕様で販売を始めた。必要な車載半導体の調達が間に合っておらず、納車までの期間が長期化する見通しとなったため、このBSI機能を搭載せず販売することを決めた。店舗やモデルで異なるが、受注から納車まで1年程度だった期間が半年程度と半分程度に短縮できるという。

Read More»

インドネシア、車産業の盟主狙う EVシフトでタイは防戦

東南アジア > インドネシアレポート

世界的なEVシフトの中、インドネシアが新たな盟主の座をうかがう。すでに乗用車生産台数ではタイを抜き、EVの本格生産も先行して始まった。タイは自国生産と販売補助金をセットにしたEV優遇策を打ち出すなど東南アジアの自動車生産ハブの地位死守に動きはじめた。

インドネシア最大の強みが車載電池で使用されるニッケル資源の豊富さだ。世界最大の埋蔵量ともいわれ投資が急増している。同国政府は4月、米Fordが参画するニッケル生産事業への投資について、独VWも参画を検討していることを明らかにした。インドネシア政府はEV振興政策を継続的に打ち出す。4月から、一部のEVにかかる付加価値税を11%から1%に引き下げた。原材料や労働力などの現地調達率が40%以上の車両を対象にし、消費と同時に国内生産を促す狙いだ。ただ、販売店から制度の使い勝手への不満があることから早期の見直しも検討している。政策も機動性を高める構えだ。

政策に呼応し世界大手の動きも活発だ。韓国の現代自動車や中国のSGMWはすでに2022年にインドネシアでのEV生産を始めた。世界で工場用地を探している米テスラにも秋波を送る。韓国のLGエネルギーソリューションは現代自と電池工場を建設中で2024年にも稼働する見通し。車載電池世界最大手の中国・CATLも電池工場を新設する。

「インドネシアに車生産のハブを奪われるかもしれない」。タイの産業政策に関わる関係者は危機感を隠さない。タイは1960年代からトヨタ自動車など日本車メーカーが生産を開始し、日本車の勢力拡大とともにサプライチェーンを含めて産業集積が進んだ。オーストラリアや中東、アフリカなど向けの輸出拠点となってきたが、世界的なEVシフトを背景にエンジン車で培った勝利の方程式が通用しなくなってきた。

タイ政府関係者は、これまでタッグを組んできた日本メーカーについて「動きが遅い」と指摘する。タイでは日本車人気は依然高くEVへの期待も高い。国内でEV普及期を迎えた中、日本車のEV商品化の遅れがタイの産業成長の足かせになる可能性もある。

タイ政府は2030年に新車生産の3割以上をEVとする目標を掲げ、2022年2月に新たな優遇策を打ち出した。最大の柱が将来的に現地生産するメーカーのEVを対象に購入時の補助金を最大15万バーツ(約60万円)支給する政策だ。物品税も乗用車について8%から2%に減税する。世界的に商用や個人向けに人気でいまだにタイが優位のピックアップトラックは免税になる。

タイ政府は2023年から5カ年の投資戦略を発表し、FCVの生産などを対象に10〜13年にわたる免税措置を適用すると明らかにした。バイオ燃料の生産企業も減税の対象になる。トヨタは2022年12月、タイ財閥最大手のCPグループと共同で家畜の排せつ物から発生するバイオガスを活用した水素を製造し、FCVへの利用も検討すると明らかにした。EVだけでなく新エネルギー車全体に手を広げ、先行したい考えだ。

タイとインドネシアの競争は激しさを増す。

出典: 日経

PSR 分析: 東南アジアにおける最大市場であるインドネシアとタイの競争は、東南アジア全体の競争力を後押しすることに繋がる。両国の間には文化的にも大きな違いがあるが、どちらも国内人口の多さと平均年齢の若さがあり、市場としても強い成長が期待できる。特にインドネシアの鉱山資源は世界から注視されており、インドネシアもこれを自覚し、より戦略的な政策を通じて自国の発展を加速させたい考えだ。日本車ブランドと歴史的にも関係が深いタイではこうしたインドネシアの動きの後塵を拝すことなく、今後も成長を続けていけるかが懸念されている。急に産業構造を変えることはできないことから、しばらくは減税で消費者市場をサポートし、補助金で投資を募るというスタンスを続けていくだろう。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト

現代自とLGエネ、米国に電池合弁工場 6000億円投資

極東 > 韓国レポート
Akihiro Komuro
小室 明大

韓国の現代自動車グループとLGエネルギーソリューションは5月26日、米国で車載電池の合弁工場を建設すると発表した。総投資額43億ドル(約6000億円)を折半で負担し、2025年末の稼働を目指す。米国のEV補助金の条件が明らかになる中で、現地での投資計画が相次いでいる。

米ジョージア州のブライアン郡に新工場を建設する。生産能力は標準的な年30ギガワット時で、EV約30万台分の電池を供給できる。現代自が建設中のジョージア州のEV専用工場のほか、起亜のジョージア工場と現代自のアラバマ工場にも供給する。重量の大きい車載電池は運送コストがかさむため、3工場に供給しやすい同地に決めた。

Read More»