極東 > 韓国レポート:
Akihiro Komuro
小室 明大

現代自動車は14日、EVの主力モデル「IONIQ 6」を発表した。1キロワット時あたりの走行可能距離は6.2キロメートルと、現行モデル「5」から2割伸長。航続可能距離も同22%増の524キロメートル(韓国政府認定基準)に引き上げた。現代自はEVの電気消費効率が世界最高水準としている。CEOはIONIQ 6について「『モバイルパーソナルスタジオ』という自分だけの安息空間がコンセプト。既存EVとは違った新たな経験を提供できる」と話した。

韓国内では7月下旬に事前予約を開始し、9月から出荷する。価格は5500万ウォン(約580万円)台からで、年内に1万2000台の販売を見込む。欧州では年内、米国では2023年上半期に発売する。日本での販売は未定という。今回発表した「6」では車体を軽量化し、駆動部品や半導体の省エネ性能を高めて航続距離を伸ばした。

出典: 日経

PSR 分析: IONIQシリーズは彼らのグローバルフラッグシップEVとしてすでに非常に高い評価を獲得している。ハッチバックの前モデル、IONIQ5は各国で多くの賞を受賞している。人気の理由はユーザー目線での開発だ。たとえば、V2Lとして充電口からAC100V電源を取り出すアダプターが標準装備されており、アウトドアで炭火を起こすことなく、ホットプレートや電気ポットを使って料理が作れたりもするなど、ユーザーにとっての新しい自動車の楽しみ方が評価されたわけだ。

今回リリースされたIONIQ6は4ドアクーペだ。ダッシュボードには、12インチのフルタッチインフォテインメントディスプレイを採用する。AWD仕様の場合、モーターは最大出力325hp、最大トルク61.7kgmを引き出す。0~100km/hの加速は5.1 秒だ。バッテリーは蓄電容量が77.4kWhと大容量だ。350kWの急速充電器を使うと、充電率10%の電池を同80%まで18分で充電できるという。

従来のエンジン車を性能面で代替し得るEVかどうか、という見方がこれまでのEV評価の軸だったが、今後は今までのエンジン車ではできなかった新しい自動車の使い方をEVで提案することが重要になっていくのかもしれない。今回発表されたIONIQ6は現代自のそうした考え方を色濃く反映したモデルだ。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト