ベトナム電動二輪のDat Bike、東南アジアへ

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ベトナムの電動バイクメーカーDat Bikeが530万ドル(約6億9000万円)を調達したと発表した。これにより、2019年に創業したDat Bikeの調達総額は1000万ドルになった。今回調達した資金は技術への投資や増産、ベトナム北部、中部、南部の主要都市への事業拡大、優秀な人材の採用に振り向ける。

Dat Bikeはまずはベトナム国内で、近い将来には東南アジアで、環境に配慮した移動手段の普及を目指すテックスタートアップだ。同社の強みはガソリンエンジンのバイクと比較した場合の電動バイクの性能の良さにある。速度制御装置やバッテリーなどの主要部品を社内で設計、製造する垂直統合によってこれを実現している。現在は2つの製品を販売している。

2019年に発売した「Weaver」は出力が5kWと同価格帯の大半の電動バイクの約3倍、航続距離が100キロメートルと約2倍に上るという。

2021年11月には、2つ目のモデル「Weaver 200」を発売した。航続距離はWeaverの2倍の200キロメートル、出力は6kWとさらに強力だ。充電時間は走行距離100キロメートルで1時間、200キロメートルのフル充電で2.5時間に短縮した。他の電動バイクは6~8時間かかる。

Dat Bikeの創業者Son Nguyen氏は「人口6億6000万人、二輪車普及率が80%を超える東南アジアは大きな可能性を秘めた市場だ」と期待を寄せている。

資金調達ラウンドを主導したシンガポールのJungle Venturesの副社長は声明で「市場規模250億ドルの東南アジアの二輪車業界は電動化の先端に立っている。この市場を電動化するというSon氏の確固たる決意の根底にあるのは環境の脅威に対する鋭い認識で、Dat Bikeの他社にはない高性能によってこれを実現している」と称賛した。

出典: 日経

PSR 分析: 東南アジアにおけるモビリティ市場を俯瞰する時、誰しもがまずタイとインドネシアを見ようとする。市場規模や成熟度においてこの2国が重要であることは確かだ。だがEVとなると、ベトナムの存在を無視することはできない。もともと2輪大国であるベトナムは、二輪にとって豊かな内需を持っており、またEVバイクに関してもVINFASTを筆頭に強い興味が市場にある。

彼らの製品の特長は従来のガソリンモデルと性能・価格の両面で対抗できる、というのがセールスポイントになっている。Weaverは同社のフラッグシップモデルで、東南アジアでの重要な仕様である2人乗りで、5,000Wのモーターを搭載し、0から50km/hを3秒で加速する。3,990万ベトナムドンという価格設定もガソリンバイクの中央値に相当する。Dat Bikeは銀行や金融機関と提携して、顧客に12ヶ月の無利息支払いプランを提供している。

もうひとつの彼らの強みは、地元で調達した部品で自社生産している点にある。中国や他の国からの調達に頼らず製造できるのは、グローバルサプライチェーンの不安定さを回避でき、また税制面でも、バイクの輸入関税は45%、部品の輸入関税は15から30%があるため、国内で部品を調達できるのは大きなメリットである。

その一方で、東南アジア域内への輸出には関税はかからない。この状況は東南アジア域外からの輸入バイクに比べて、Dat Bikeに大きな優位性がある、といえるだろう。

従来のEVバイクの弱点であったパワー不足と高価格というふたつの懸念点を克服し、Dat Bikeは今後3~5年で大きな成長を続け、ベトナムから東南アジアへ商圏を拡大するとともに飛躍するだろうと私は見ている。PSR

小室 明大 – 極東及び東南アジア リサーチアナリスト


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