バンコク、動き始めた「副都心」開発 一極集中解消へ

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東南アジアの中核都市であるタイ・バンコクで鉄道網が急拡大している。無秩序ともいわれる都市開発や車の急増で交通渋滞が深刻になり、都市機能を分散するのが狙い。国内2大空港が結ばれるなど2023年まで新路線の開通が相次ぎ、総距離は現在の2倍となる。総事業費は1兆円にのぼり沿線開発も活発だ。高層住宅やオフィスビルからなる「副都心」が生まれ、従来のバンコクの街並みが変わりつつある。もともと、バンコクは街を南北にチャオプラヤ川が流れ、東西の行き来が面倒だった。だが環状線の誕生でそれが解消し、バンコク中心部から東部に広がるビジネス街と、チャオプラヤ川の西側の住宅街を電車1本で移動できるようになった。東南アジアの大国であるタイは、日本メーカーを中心に自動車生産大国としても知られ、経済成長に合わせ、車の所有率は飛躍的に上がった。

ただ、タイでは長く都市計画をなおざりにした開発が進み、都市機能は中心部に集中したままで、経済成長に見合うだけの道路のインフラ建設が大きく遅れた。例えば、バンコクは都市に占める道路面積の比率は7%と、東京の半分以下でしかない。そのため、渋滞がひどい世界の都市ランキングでも17年にはワースト2位(オランダの地図大手トムトム調べ、19年は同11位に改善)にまで落ち込んでいた。今でも大気汚染が悪化する日は、公立小中学校を臨時休校する措置も取られているのが現状。政府は「副都心化」を切り札に、対策を急いできた。ただ、まだ道半ば。先行きには不安材料も出てきた。タイは昨年後半から米中貿易戦争の影響を特に受け経済成長率が2.4%にとどまった。これは軍事クーデターが起きた14年以来の低水準だ。さらに直近も、新型コロナウイルスの感染拡大で主力の観光業や製造業が大きく打撃を受け、今年は同1%台に低迷する予測もある。今後、開発中のプロジェクトが遅れ新規投資が抑制される可能性も否定はできない。

Source:            Nikkei

PSR 分析: 東南アジアの都市部の交通渋滞と大気汚染は、バンコクに限ったことではない。ジャカルタ、クアラルンプール、ホーチミンなどの多くの都市がこの問題に直面している。都市自体の移転計画を含むいくつかの手段が過去に検討されたがそれらの多くは経済的・政治的問題のためにとん挫していた。バンコクの進展はここまでは成功しているが、まだ道半ばだ。プロジェクトを完了するには多くの問題を解決する必要がある。足元の経済はコロナウイルスの問題により衰退し始めている。しかし、道路や鉄道を通じて都市を発展させ、過剰な集中を分散させるという政策は、正しい方向への動きである。東南アジアは、カーシェアリング、ライドシェアリング、EVバイクの台頭によって、交通の多様化を見るのに最適な場所かもしれない。PSR

小室明大 – 極東及び東南アジアリサーチアナリスト


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