郵便配達業務用として、ホンダの電動バイクが2020年3月までに200台、2020年度中に2000台程度導入される。郵便配達用のバイクは全国で約8万5000台が走っているが、すべてがホンダ製である。3輪のモデルもあるが、そのほとんどがスーパーカブだ。雪の降る地域でも故障せず毎日頼もしく走る頑丈さに定評がある。そんな偉大なモデルが務めてきた郵便配達業務を、これからは電動バイクが担っていく。まずは走行範囲の少ない都内や首都圏、地方の政令指定都市などに配備する計画とのこと。郵便配達用電動バイク、ベースとなるのはビジネス用電動二輪車ベンリィeシリーズで、ホンダは法人向けに2020年4月に販売開始する。電圧48Vのリチウムイオンバッテリー2個を直列に接続させた96V系システムで、充電はバッテリーを車体から外して専用充電器でおこない、約4時間でゼロの状態から満充電になる。

最高出力3.8PSを発揮し、最大積載量を積んだ状態で、傾斜12度の登坂性能を実現した。航続距離は、ベンリィe:Iが87km、ベンリィe:IIが43kmだ。ホンダ関係者によれば、配達範囲を考慮すると1日稼動可能だが、昼休みに一旦郵便局に戻ってくる場合がほとんどなので、電池残量がもし減っていたならそのときバッテリー交換すれば心配ないとのこと。バッテリー残量は、メーターパネルで絶えず目視で確認できる。

出典: レスポンス

PSR 分析: 全国で稼働する郵便配達用バイクはおよそ85,000台で、2020年度中に2,000台が追加されれば、およそ40分の1が電動バイクという構成となる。ランニングコストは非公開ながら、オイル交換不要なことや電気代はガソリン代のおよそ半分とのことで、コスト面でも導入の効果はありそうだ。

電動バイクのみならず、電動四輪車を含むEV全般の普及に対し障壁となっているのは、「充電をどうするのか」という問題だ。もしこのトライアルを経てEVバイクが郵便局に全国的に導入できれば、それは同時にバッテリーを交換できるスポットが全国に配備されることを意味する。郵便局でのバッテリー交換を一般に開放できれば、現状で約23,800か所ある郵便局がEVバイクにとってバッテリー交換のインフラになり得る可能性を秘めている。すでにホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの4社による電動二輪車用交換バッテリーコンソーシアムが設立されている。そこでEVバイクのバッテリーの仕様を含めた在り方について議論されているということだ。今回ホンダが発表したモデルが4社共通になるかは定かではないが、これらの4社で共通使用が可能なバッテリーと、その充電インフラがセットで普及するのなら、それは大きな進歩といえるだろう。PSR